『キタイ』 吉来駿作
2008年、7冊目は吉来駿作の『キタイ』。
この作家の作品は全く読んだことはなかったけれど、タイトルに魅かれて手にしました。
キタイ=契丹なので歴史物かな、と思ったのですが、実は軽めのホラー。
内容は、端的に言えば、死者が生き返って、仲間を殺すというもの。
ストーリーは、
高校時代に死んだはずの友人、葛西真一が18年を経て帰ってきた。
死んだ友人を蘇らせるために行った儀式は、フカチ(深町修平)、ハル(馬場晴美)、将軍(松平新之助)、ゴリ(草野五郎)、タカシ(今村高志)、洋子(瀬戸内洋子)、オカキ(岡崎浩一郎)に怪異をもたらす。
18年を経て還ってきた葛西に仲間は次々と殺されていく。儀式を抜けた仲間、藤原誠も例外ではなかった。18年前には救えなかったハルを今度こそ救い、葛西を殺すため、フカチは香港から許我町に帰ってきた。
なぜ、女性の犠牲者は子宮を抜かれるのか。誰が葛西となったのか。
”死にながらの森”、キタイとは何か。
あまりホラーって得意じゃないんですが、瀬名秀明の『パラサイトイヴ』のような怖いながらも知的(?)好奇心をくすぐられるような作品で、なかなか最後まで惹かれます。
ホラーの要素での一つでもある怪異現象(「バスが出る」という会社員や天井一杯のトカゲ等)の中には、後の説明(解釈)とそぐわない部分があったり、なぜか主人公が聞いてもいないはずの真実を知っていたり、特に必要のなさそうな設定とか、ちょっと無理のある部分は少なくなかったものの、概ね全編を通して楽しく読み進めます。
生き返りの定義や方法が、なかなか斬新で興味深かったものの、最後まで何故、『キタイ』(遼=契丹)というネーミングなのか、ネーミングからこの作品を手にした者からすれば釈然としない思いが残ります。インドから契丹までの間の変遷、キタイといわれる理由を無理なく盛り込んでいた方が良かったのではないでしょうか。
まぁ、引っかかる部分は無きにしもあらずですが、最初から最後まで、中だるみなく、十分楽しめる内容でお奨めできるレベルの作品です。
お奨め度:★★★☆☆
再読推奨:★★☆☆☆
| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)

最近のコメント