著者別(い)井上尚登

『クロスカウンター』 井上尚登

Crosscounter 2009年、93冊目。井上尚登『クロスカウンター』

何だか、どこかで読んだような話。

どうも主人公の職業自体が嘘くさいし、敵役も安っぽい。

ちょっと入り込みにくい作品かもしれません。

 

第1章 砂の上のダンス

元アナリストの金融探偵、七森恵子は上得意の真壁杏子の求めに応じ、ナノテクノロジーの会社SEIUN社の調査を進めていた。

しかし、会社の沿革の怪しさのほか、奇妙な中国人からの電話があったり、開発担当の副社長北村健一と社長河野隆三との懸隔など・・・。

同じくフリーの金融調査を行う如月浩二郎とともに調べを進めると、丹波圭三という怪しい男が会社に出入りし、会社は経済産業相鹿沼武雄とも関係があることがわかってくる。

そんななか、突然北村が研究所所長という名ばかりのポストに更迭される。

 

第2章 偽りの扉

真壁杏子から中国の出版ビジネスの調査を依頼された七森恵子は北京でキーマンと言われる華想集団総経理劉文にビデオジャーナリスト李小佳を介してインタビューする。

は亡くなった党の実力者馬永春の隠し子と噂され、その噂が彼の信用の裏づけとなっていた。

小佳恵子に見せたビデオには、華想集団のパーティが映っていたが、そこには恵子がアナリストを辞めるきっかけをつくった、忘れることのできない男平川慶史郎が映っていた。

怪しさが増すなかで劉文の生まれ故郷を訪ねた恵子の生家での母栄美馬永春と写った写真を発見する。

しかし、劉文が生家を出て行く結果となった一冊の雑誌を読んだ恵子は一つの事実に気付いた。

 

第3章 危険な水

真壁杏子の目的がよくわからなくなっていた恵子杏子の依頼は断る決心をしていたものの、平川慶史郎絡みともなれば手がけるしかなかった。

アルカリプラズマ活性水”奇跡の水”を作る浄水器の会社、バイオライフ社が行う代理店説明会の会場に赴いた恵子は「東京での代理店を一手に引き受けたい」と申し出、会長っである平川への面談を求めた。

平川との面談のためにバイオライフ社へ向かった恵子だったが、そこで待っていたのは丹波圭三だった。

丹波に監禁された恵子は、バイオライフ社へ潜入取材していたというフリージャーナリスト坂巻良の助けを借り、逃げ出した。

真壁杏子にバイオライフ社の一件を報告したあと、恵子如月浩二郎杏子について調べさせる。果たして、真壁の邸宅は貸しスタジオだった。

 

第4章 懐かしい顔

坂巻からの情報で丹波圭三が三池商事にいることを知った恵子は清掃業者として三池商事に潜入する。

一方、如月浩二郎平川慶史郎について調べていた。調べてみると、インターネットの掲示板には平川が手がけてきた数々の詐欺事件が列挙されている。

そんなとき、恵子真壁杏子に紹介した元同僚木村敏夫が交通事故で死んだ。その捜査にあたったのは警視庁捜査二課の三田村。背後に平川の影を見た三田村は、木村の死の捜査の過程で恵子にも事情聴取を行う。

恵子は三池商事での丹波らの手口がSEIUNらで行われたものとは異なり、かなり荒っぽいものであることに気づき、違和感を感じていた。

よお、久しぶりだな、姉さん

清掃の求めに応じて赴いた部屋には丹波圭三が待っていた。

閉じ込められた恵子杏子の協力者神林の手引きにより辛くも逃げ出すことに成功した。

再び恵子の前に姿を現わした真壁杏子は本名を名乗った。かつて平川に会社を食い物にされ人間不信のすえ自殺したベンチャー企業社長松岡靖之の母松岡千賀子真壁杏子だった。

恵子を迎えたのは千賀子だけではなかった。迎えた面々は亡くなった木村の妻和江をはじめ、全て平川の詐欺の犠牲者たちだった。

 

第5章 女神の声が聞こえる

が目を覚ますと病院のベッドの上。

医師は有川哲生と呼ぶが、自分の名前ではない。医師は、が記憶するときから、時間も1年が経過しているのだという。

は病室から出て行こうとするが、医師は許可しない。ドアにも鍵がかかっていた。

夢うつつの病室での生活では、「終わりにしましょう」と誰かの声が囁き、を死へ誘う。が目を覚ますと、壁一面に黒く、「終わりにしたい」「終わりにしよう」「死ねば悪夢から逃れられる」「死、死、死」「Death,Death,Death」とびっしりと文字が・・・。

が絶叫すると、かけつけた医師が注射し、の意識は途切れた。

夢と現実が渾沌とするなかで、は少しずつ追い詰めらていく。

ベッドから飛び起きて病室を出たは勢いよく非常口から飛び出す。バランスを崩し、非常口から落下しようとしていたのを止めたのは磯田看護師だった。

ここであんたが落ちて死んでしまえば、もう終わりなんだけど、ひとが死ぬのは嫌なんだ

磯田はポケットから注射器を出して、の腕に刺した。

には、非常口から落ちようとする際に、下から見上げていた女に見覚えがあった。

七森恵子、金融調査員だ。が関った事件に何度も首をつっこんできた女だ。

疑惑を感じたは食後の薬を飲んだふりに留めて様子をうかがうと、夜中の12時過ぎに異変が起こった。環境音楽のような物憂い音楽とともに、死を誘う言葉が繰り返されたのだ。

七森恵子による芝居であることを確信した磯田に真相を求める。

磯田が示したのは2007年1月16日の新聞だった。

『連続詐欺事件の容疑者が逮捕される』とその新聞記事にはあった。

主犯は平川慶史郎丹波圭三という男だったが、平川は主犯は他にいると嘯いており、警視庁は坂巻良という20代の男を指名手配していた。

磯田坂巻を自殺に追い込もうとした筋書きを語った。

 

どうも各話とも薄っぺらい。

登場人物も表面的で、主人公である七森恵子ですら、正体不明に近い。

平川に騙された元アナリストという、それだけのキャラクターでしかなく、主観面は非常に乏しい。だからこそ、思いいれを持ちにくいのでしょう。

あまり目新しい話もないため、知的好奇心がくすぐられることもなく、どうも退屈。

まぁ、軽く読み飛ばす程度の作品と言えるでしょうか。

そのわりには、最後の坂巻良をはめる話は勧善懲悪の痛快な話というよりも、陰湿で非常に暗い雰囲気で、ラストを締めるにはあんまり、といった印象を受けます。

何だか後味が悪いです。

お奨め度:★★☆☆☆

再読推奨:☆☆☆☆

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『ホペイロの憂鬱 JFL篇』 井上尚登

Hopeiro 2009年、60冊目。井上尚登『ホペイロの憂鬱 JFL篇』

これ「JFL篇」って、今後「J2篇」とか「J1篇」って続くんでしょうか?

舞台はJFLのクラブってことなんですが、印象としては同じ東京創元社の『タルトタタンの夢』(近藤史恵)や『配達あかずきん』(大崎梢)に似た感じの軽いミステリというところでしょうか。

舞台はサッカークラブということですが、特にサッカーを知らなくても十分楽しめる作品ですし、逆に知っていてもそれほど何かしら面白さが増すというわけでもないような作品です。

 

神奈川県相模原市をホームタウンとする日本サッカーリーグ(JFL)所属のサッカークラブ、ビッグカイト相模原。

坂上栄作はそこのホペイロ兼雑用係。

クラブの広報三島撫子(28)に雑用をいいつけられ大変な毎日だが、ボランティアでクラブを手伝う女子大生山岸奈々子(20)や新人選手神坂元気にも助けられ、なんとかホペイロを務める毎日。

  

カンガルーの右足

ホペイロ(用具係)の仕事のほかに洗濯もこなさなければならない坂上には殆ど休みもない。そんな洗濯をする坂上に声をかけたのは60代のおばあさん。

光恵さんだよ

と名乗るおばあさんは、坂上の上司にあたる桑原峰太郎やクラブの社長御子柴とも知り合い。ビッグカイト相模原の母体ともなった相模ベアリングサッカー部の寮母をしていたのだ。

その伝手で光恵さんはクラブの洗濯を手伝ってくれることとなった。

この頃、坂上には不思議なことがあった。クラブのスター選手ヤマケンさん(山形建一)がまだ使えるスパイクを廃棄することが多くなってきたのだ。

光恵さんは、山形が何かを坂上に隠すためにしていることだと言うのだが・・・。

 

ヤム芋ストライカー

ナイジェリアからやってきている選手アモちゃん(ヌワンコ・アモカチ)が警察につかまる。

農大のヤム芋畑をアモちゃんが荒らしたというのだ。しかし、ヤム芋の生長をアモちゃんは単に見守っていただけ。濡れ衣だ。

アモちゃんの濡れ衣をはらすよう撫子(通称”オニアザミ”)から命じられた坂上は畑を管理する倉持教授に事情を聞きにいく。しかし、倉持は大のサッカー嫌いだった。

 

迷惑フラッグ

全国どこへでも駆けつける名物サポーター”旗振りくん”が元気がない。

練習に持ってきていた、たくさんの旗が盗まれてしまったのだ。

広報誌『ピープル』に旗振りくんをとりあげるつもりだった撫子は困って坂上になんとかさせようとする。黙殺しようとする坂上だったが、「旗振りくんの応援がないと調子がでない」という神坂元気の言葉を受けて山岸奈々子からお願いされれば仕方がない。奈々子との親睦を深めるべく捜索に立ち上がった坂上だったが、その夢は儚く破れた。奈々子撫子の手伝いで手一杯だったのだ。

仕方なく、坂上元気とともに旗振りくんこと大垣浩介に会いに城山町に向かった。

 

忘れ物リング

長崎県の佐世保での試合後のユニフォームの洗濯をしようとした坂上は、ユニフォームからこぼれ落ちた指輪を拾い上げ、ポケットに入れる。誰のものかわからない指輪は細い女性ものの指輪。

洗濯が終わったのも束の間、坂上は佐世保の街で飲んでいる撫子に呼び出された。ハンカチを取り出すときに、転げ落ちた指輪に、「ホペイロ坂上、女ができたね」と撫子の目が光る。

酔っ払った山形坂上を祝福するなど、話は一人歩きを始めた。

撫子が触れ歩くこともあって噂は広がっていくが、坂上は持ち主が名乗り出れば消えるだろうと軽く考えていたのだが・・・。

 

盗まれポスター

スーパー相模の協賛で新たにポスターが作成される。

撫子は、女子高生に人気の神坂元気がモデルだった前回のポスターが多く盗まれてしまったことを反省し、今回は女子高生の人気のない”チャラ男”森陽介をモデルにする。

盗まれることを心配する店長に、撫子は太鼓判を押す。

しかし、撫子の言葉は裏切られた。

ポスターが盗まれてしまったのだ。

盗まれてしまったことを喜ぶの言葉は撫子の神経を逆撫でした。早速、撫子はポスターが盗まれた現場へ、坂上神坂を連れて向かうのだったが、現場につくとは少しずつ言葉少なになっていった。

 

行方不明ベア

最終節を控え、首位のビッグカイト相模原だったが、混戦の上位陣にあって、最終戦で負けた場合には5位に陥落し、J2昇格が流れてしまう。

縁起をかつぐ監督樫井亮介坂上撫子光恵にも、勝利した前々戦で着用したのと同じパンツをはくよう厳命する。

そんな樫井の部屋から勝利の熊のぬいぐるみが消えていた。

目を血走らせ、坂上に熊の行方を追うよう樫井は依頼するのだが、誰も思い当たる節はない。

犬エレルギーの樫井のくしゃみ、開いていた窓などから、坂上は熊のぬいぐるみのありかに迫るのだが、時すでに遅く・・・。

 

当初は光恵が探偵役かと思いきや、結局は主人公坂上が探偵役。(「忘れ物リング」は微妙ですが)一応、各話それなりの解決はみるものの、どうも話が小粒。

サッカークラブを舞台にしているのなら、もうちょっとサッカー色が強くってもいいんじゃないでしょうか。サッカーに馴染みのない人にも、ついてこれるようにとの配慮なのかもしれませんが、逆に特徴をなくしてしまっています。こういった話であれば、別にサッカークラブでなくて、クリーニング屋が主人公でもいいんじゃないの?といった印象を受けてしまいます。

撫子がなかなか面白そうなキャラクターの片鱗は見せるのですが、どうもストーリーにうまく乗ってこないような感じですね。問題を持ち込む役は果たすんですが、物語が動くところで絡んでこないので、どうも印象が薄くなってしまいがちです。

今後(があるのだとすれば)は、もうちょっと(坂上撫子)コンビでの活躍が見たいものです。

お奨め度:★★★☆☆

再読推奨:★★★☆☆

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『厨房ガール!』 井上尚登

Chubo 2009年、冊目。井上尚登『厨房ガール!』

料理学校SWATの生徒たちのお話。

警察官出身の主人公唐沢理恵をはじめ多彩な料理学校の生徒らが解決する軽いミステリー(?)といったところでしょうか。

キャラクターで読ませる作品で、軽くて面白い仕上がりになっています。

 

唐沢理恵(28)は本番に弱い女である。

緊張すると手近な人物を投げ飛ばしてしまうという特技(?)を持つ。

現在、理恵が通っているのは、田園調布を見下ろす小高い丘のうえにある名門料理学院SWAT(セント・ワイズ・アカデミー・トラスト・クッキング・スクール)である。

昨年4月、7年間勤めた警視庁(南大田署少年課)を辞め、SWATの入学資格のため、レストランやバーでバイトのすえ、漸く入学したのだ。

 

珊瑚礁コンソメ

俺がシェフだったら、お前は首だ

完全に理恵を馬鹿にする正木弘文に、理恵は賭けを持ちかけた。

10年以内に理恵がシェフになれたら、正木が土下座して謝り、SWATが経営する格式高い銀座のレストラン”シェ・ワイズ”でご馳走すること。どうせなれっこないと、正木は軽く請合う。

正木はかつて7年も厨房にたっていたプロ。SWAT卒業の肩書きはレストラン業界では一目も二目もおかれる。この肩書きを得るためだけに、正木はSWATへ入学したのだ。

しかし、そんな正木の判断に、先生であるシェフはなぜか「正木、その賭けはおまえの負けだ」という。

今回、シェフが指導するのは『珊瑚礁の海のように澄んだコンソメ』。

授業が終わった後も復習を怠らず、頑張ったはずなのに・・・。

2日後のコンソメの試験で、理恵は絶望的な気分でコンソメの鍋を見つめた。

しかし、厨房では誰もが、鍋の前で立ち尽くしていた。正木ですら腕を組み、眉間に皺をよせているのだ。

 

重量級パスタ

松藤シェフの指導で正午からのランチ実習を行う理恵たちだったが、クラスの問題児峰村楓がオニオンスープの味付けに失敗してしまう。出来上がったスープは塩辛かったのだ。

松藤は魔法の調味料を使い、スープの味を穏やかなものにしてしまう。”魔法だ”、理恵は感心する。

先輩

ランチ実習の最中、理恵に声をかけたのは警察官時代の後輩三品良明である。

多摩川西署に転属になった三品は、最近出没するレストランの売り上げを狙う強盗について、注意を呼びかけた。

理恵たちの食べる分がなくなった学食を後にして、理恵峰村楓(30代のころころと太ったマシュマロマン。元ヤンキー、元暴走族レディス。)や坂田美江子(クラスで一番若い18歳。小柄で目が細く、えらもちょっと張っているヒラメ顔だが、それはそれで可愛い。)とキッチン・ダックスで昼食をとることになったのだが、店の様子が変だった。

味がなにか違うのだ。

 

塩辛ソルト

パンの神様と呼ばれるブランジェ、フィリップ・ジャケがSWATで講義を行った。

フランスで人気のショコラスリーズを作るのだが、ムッシュ・ジャケの指示通りに作ったパンは何故か塩辛かった。

翌日、この講義を欠席していた正木三品が事情聴取を行う。

講義の時間、正木が会っていたトウドウフード企画の副社長久能一之が殺されたのだ。

正木の恩人が店を乗っ取られそうになっているのを見かねた正木は、久能と口論になった。

正木が副社長室を出た後、副社長室で胸をナイフで刺された久能が発見され、容疑者として正木が浮上したのだ。

 

間違いレストラン

クラスメートの篠原賢から依頼されて、食べに行ったレストランは奇妙だった。

目をつむって食べると、おいしい

正木が評するように、味は悪くないのだが、何かアンバランス、何かしら微妙だ。曰く”また行きたいとは思わない店”なのだ。

40代の篠原賢は元ヤクザ。

出所して、元妻の夢であったフレンチレストランの開業を手伝うために、SWATで修業する篠原だったが、元妻は既に店を開いていた。

今回、篠原が調査を依頼した店がそうだ。

理恵は料理を思い出してみると、テーブルクロスの色や音楽など、奇妙な点がいくつも気になりはじめた。

 

お怒りシェフ

理恵は学院から出て、川崎市のフレンチレストラン「エコール」で研修を行っている。

しかし、腕はいいが短気な池辺シェフに愛想をつかして従業員が次々と辞めていき、理恵は厨房ではなく、ホールで働いていた。

厨房一人、ホール一人という殺人的な忙しさの中、理恵は5万円もするワイン(2001年のシャトーマルゴー)のコルクを抜くのを失敗した挙句、池辺シェフを投げてしまう。

そんな店へ三品がやってきた。

多摩川の東京側の岸辺で死体が発見されたのだ。死体は安藤和久という窃盗常習犯。

この安藤の指紋が、最近頻繁に「エコール」に侵入しようとした指紋と一致したのである。

 

揚げ揚げキッチン

SWATの庭のイチョウの木の下を掘っていた不審な男はの夫峰村昌弘

昌弘の働く運送会社の社長宅で行われる天ぷらパーティーに持っていくつもりだったのだ。

理恵正木らに参加を呼びかけるが、妙に愛想の良いに不穏なものを感じた理恵はバイトを理由にパスする。

恵比須にある理恵のバイト先のバル「ベジョータ」に、天ぷらパーティー帰りの正木が立ち寄る。

いやなやつの揚げた天ぷらなんて、食べたくはない。うまいものでもまずくなる

横暴な社長の振る舞いに嫌気がさして、途中で帰ってきてしまったのだ。

 

幽霊カラメリゼ

SWATと同じ敷地内にある教会の礼拝堂から何か音が聞こえてくる。

怖がりながらも美江子とともに礼拝堂に向かった理恵は確かにうめき声を聞いたのだ。

慌てて厨房へ駆け戻った理恵は手近にいたシェフを投げてしまう。

しかし、理恵はそれどころではなかった。

3日間ある料理試験の1日目に合格点をもらえなかったのである。

3日間のうち2日以上合格しないと、退校処分になるのだ。理恵美江子もあとがなかった。

2日目の課題はオマール海老のアメリケーヌソース。

何とか合格点をもらった理恵美江子だったが、は不合格。3人は最終日の試験に退校処分がかかった。

3日目の課題は大根による創作料理。

日本の大根を使った日本らしいフレンチって・・・。理恵は悩んでいた。

 

最初は多彩なキャラクターを使って、いろいろな話をやろうとしていたんでしょうね。

そのためか、第一話の「珊瑚礁コンソメ」では、何人ものクラスメイトが紹介されます。

いつも理屈っぽい、中堅商社松茂物産の営業マンからの転職組、新川啓介(34)。

の高校時代の同級生で、田園調布の奥様、三条怜子(32)。

でも、この二人、2話目から登場しなくなってしまいました。

結局、動かせるキャラクターって、四人くらいが限度なんでしょうか。

理恵正木美佐子の四人がいつも一緒に行動するパターンが出来上がってしまいました。

第一話で紹介のあった謎の四十男篠原賢(42)は「間違いレストラン」で話題を提供するだけの存在で、理恵の後輩三品と位置づけ的にが変わりありません。むしろ、こちらの方が地味かもしれません。

ちょっと最初に風呂敷を広げたわりには、ちょっとこじんまりした感じはありますが、これはこれでコンパクトで軽快に進むので良かったのでしょう。

まぁ、美江子は話をまぜっかえしたり、混乱させたりするだけで、ストーリー進行には何ら関係ありませんでしたが・・・。

理恵の推理もかなり強引です。与えられた材料だけで導くには強引というか、妄想的ですらあります。まぁ、真面目なミステリーではないから、いいですけどね。

内容的には、SWATを卒業するわけでもないし、続編があってもおかしくありません。

バル「ベジョータ」のジュニア奥原大輔も登場させたわりには、まだ使い切っていなかったりと、消化不足の材料も多そうだし・・・。

”唐沢最強伝説”も含めて、もうちょっと読んでみたい作品です。

お奨め度:★★★☆☆

再読推奨:★★★☆☆

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