著者別(い)池井戸潤

『空飛ぶタイヤ』 池井戸潤

Sorataiya 2008年、137冊目。池井戸潤『空飛ぶタイヤ』

タイトルに騙されてしまいました。名前からして、愉快なコメディタッチの話かと思っていましたが、中身はいわゆるビジネス小説。

フィクションとはなっていますが、明確に題材等がわかるような実話をもとに膨らませているので、非常に緊迫感をもって読むことができる作品でした。

良い意味で期待を裏切られた作品です。



赤松運送(社長:赤松徳郎)のトレーラーから外れたタイヤが歩道を歩いていた主婦柚木妙子(33)を直撃した。一緒に歩いていた息子貴史(6)はかすり傷で済んだが、妙子は即死だった。

事故はマスコミの注目するところとなり、赤松運送は加害者としてバッシングを受ける。主たる取引先である相模マシナリーからは取引停止と、事故時の補償金600万円を突きつけられる。メインバンクである東京ホープ銀行(モデル:東京三菱銀行)からも、コンプライアンスを盾に新規の融資を拒絶され、資金繰りに行き詰るようになっていった。

港北警察署(モデル:瀬谷警察署)の依頼を受けて事故車の鑑定を行ったのは製造元であるホープ自動車(モデル:三菱自動車)である。鑑定結果は「整備不良」。これをもって港北警察の刑事高幡真治らによって赤松運送の家宅捜索が行われる。しかし、家宅捜索をもってしても、整備不良のあとはみられず、むしろ整備は良好だった。鑑定に疑問を覚えた赤松はホープ自動車に再調査を申し出る。

これに対応したのはホープ自動車販売部カスタマー戦略課課長の沢田悠太である。赤松を身の程知らずのクレーマーとみなし、黙殺する。しかし、品質保証部の課長室井秀夫が赤松運送のクレームについて問い合わせてきたことに沢田は疑問を感じ、一件を調べ始める。車両製造部の友人小牧重道を経由して品質保証部から情報を入手する。品質保証部の部課長、役員、研究所の所長らからなる秘密会議があるのだという。その名も「T会議(モデル:マルT対策本部会議)」。

3年前のリコール隠しで世間のバッシングを受けたホープ自動車にあって、沢田には品質保証部らの暗躍は極めて危険なものと映った。室井に詰め寄る沢井だったが、反応は上からの圧迫として還ってくるだけだった。

その頃、東京ホープ銀行本店営業本部の調査役井崎一亮は頭をかかえていた。リコール隠し以降業績の振るわないホープ自動車が再度支援要請をしてきたからだ。申入れは200億円のクレジットライン。改善を図ろうともせず、業績悪化を景気のせいにする姿勢と、グループ内の支援は当然と言わんばかりの態度に辟易としていたのだ。

しかし、ホープ自動車の次期社長とも目される常務取締役狩野威に、東京ホープ銀行の国内与信の総責任者である専務取締役巻田三郎は頭があがらず、支援に積極的だった。

そんな井崎のもとに大学時代の友人で今は「週刊潮流」の記者を務める榎本崇から連絡が入る。榎本はホープ自動車の社員からの内部告発により、再びリコール隠しが行われ、横浜母子死傷事故にも責任があることの裏づけをとっていたのだ。

愕然とする井崎は次長の紀本孝道や営業部長濱中譲二とも相談し、支援見送りの方向で臨んでいたが、巻田を経由した狩野の圧力、ホープ自動車の財務部係長三浦成夫の嫌味にも耐え続けなければならなかった。

赤松らの逮捕にはいたらないままに時間は過ぎた。しかし、世間からバッシングを受ける赤松運送の経営は益々苦しくなっていくばかりだった。そんなとき、赤松は群馬県でも同様にタイヤの外れた事件があることを知り、高崎市の児玉通運(社長:児玉征治)にとんだ。児玉社長と話すうちに、車両の構造的欠陥の可能性に気付いた赤松は、自身で部品を再調査することに思い至る。しかし、部品返還の要請に対して、ホープ自動車は一切返そうとはしない。赤松は部品返還を求めてホープ自動車を訴えた。

赤松運送の窮地に手を差し伸べたのは児玉通運である。仕事の融通をするとともに、取引先銀行を紹介したのである。はるな銀行(モデル:りそな銀行)蒲田支店へ出向いた赤松を支店長中村桂子、融資課長の進藤治男は温かく迎え、運転資金の融通を前向きに検討することを約束した。

危機感を覚えたホープ自動車の沢田は社長岡本平四郎あてにリコール隠しの報告書を提出したが、狩野とは同じ穴の狢であった岡本は報告書を狩野へ流す。狩野は社内での隠蔽工作を進めるとともに、社内で跳梁する不満分子である沢田を丸め込むため、希望部署(商品開発部)への異動をエサとして篭絡しようとする。そして、沢田は堕ちた。

その頃、赤松のもとを「週刊潮流」の榎本が取材で訪れる。ホープ自動車のリコール隠しを調べる榎本に勇気付けられた赤松は苦しい日々の中、記事の載る日を心待ちにするのだった。

しかし、記事は出なかった。ホープ自動車の狩野、東京ホープ銀行の巻田が広告料をチラつかせ、潮流社に圧力をかけ、記事をボツにしたのだ。

打ちひしがれる赤松だったが、更に東京ホープ銀行からは内容証明付郵便が送られてくる。3億円の融資を全額返済しろという内容だ。もう倒産は時間の問題という切羽詰った状況ではあったが、榎本から得た情報をもとに全国の事故を起こした運送会社を赤松は経巡る。しかし、過去のことを掘り起こされたくない会社からはけんもほろろに扱われ、挙句には赤松の無責任さを詰られる。

しかし、苦心のすえ、有効な情報を入手したのは愛知県知多市の高森運送、金沢市の北陸ロジスティックスでだった。そこで入手したのはホープ自動車が国土交通省に提出した報告書だった。その報告書は虚偽に満ちていた。

赤松は報告書をホープ自動車に持ち込み詰め寄るとともに、港北署の高幡に示して再調査を求めた。捜査に行き詰っていた高幡はメンツを捨て、赤松の報告書をもとに証拠を固めていく。そして、家宅捜索令状をとった高幡は道路運送車両法違反の疑いで、ホープ自動車本社と研究所に乗り込んだ。

ここに来てマスコミはホープ自動車の事件を取り上げたが、狩野の隠蔽工作が功を奏してか一切証拠は出てこない。捜索の結果、赤松の部品(ハブ)は既に廃棄済みであることが判明し、赤松には整備不良を覆す材料がなくなった。

容疑は晴れないまま、経営は悪化し、東京ホープ銀行からの返済も迫られ、ニッチもサッチもいかない赤松のもとへ、はるな銀行から電話が入る。



とにかく、緊迫感の漂う作品で非常にのめり込みます。書き方が巧いんでしょうね。とにかく、理不尽な仕打ちにともに憤ってしまいます。これが逆境だ!といわんばかりの状況が延々と続くので読むのは非常にストレスを感じますが、それもまた最後があればこそです。

作中では「財閥系」という言い方をしていますが、「三菱」の官僚体質をよく表現していて、”そうだよなぁ”と相槌を打ちながら読みました。

ただし、作品は頑張るお父さん、社長として赤松徳郎にスポットを当てんがためにPTA会長という役割も付し、小学校でのやりとりにも紙面が多くさかれていますが、ちょっと中途半端なような気もします。むしろ、国土交通省の役人たちの無責任さにも目を向けるべきだったんでしょう。結局、製造元との間のなぁなぁの関係の中でリコールが見逃されてきたわけですから。

実際の裁判では、国土交通省が三菱ふそうトラック・バスを訴え、一審では無罪(二審で有罪)になっていますが、その背景には報告を求める役所自体の曖昧さがあったようにも解釈されています。リコール隠しをした製造元が悪いのは言うまでもありませんが、それに加担したともとれる役所の姿勢も糾弾すべきだったんじゃないかなと思わないではありません。

[参考:三菱自動車のリコール隠し]

お奨め度:★★★★

再読推奨:★★★★

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『オレたち花のバブル組』 池井戸潤

Hanabubble 2008年、125冊目。池井戸潤『オレたち花のバブル組』

またも半沢やってくれました、という感じでしょうか。でも、ちょっと今回は手ぬるかったような気もします。巨悪を見逃してしまったような感じですね。

今回は金融庁との対決です。高杉良『消失 金融腐蝕列島【完結編】』を読んだあとに読むと一層爽快感が味わえるような気がしますし、逆に現実(?というか、竹中?)の中途半端さにイヤな感じを覚えるかもしれません。


法人部時枝孝弘の担当する伊勢島ホテルが運用の失敗で120億円の損失を計上する。しかし、伊勢島ホテルへは先日200億円の融資をしたばかりだ。加えて、競合行である白水銀行は独自調査で資金を出していなかったらしい。

この大失敗で伊勢島ホテルの担当が営業第二部に移り、担当は次長半沢直樹に命ぜられた。この背景には伊勢島ホテル社長湯浅が担当者として半沢を指名し、それが頭取命令となったものらしい。営業第二部の三枝裕人副部長より命を受けた半沢は、同期でもある時枝とともに、伊勢島ホテルへ乗り込むが、財務部長の原田貴之、担当の専務取締役羽根夏彦も冷笑するばかりで協力的ではない。

加えて融資実行直前の担当である京橋支店へ出向いた彼らを待っていたのは、旧Tの反発であった。東京第一銀行と産業中央銀行の合併行である東京中央銀行では出身が東京第一銀行である旧Tと出身が産業中央銀行である旧Sの確執は消えていなかった。特に、旧Tにおいて優良支店であった京橋支店において、今回の伊勢島ホテルの法人部への移管が面白いはずもなく、今回の事件の背景にはコミュニケーション不足による伝達情報の疎漏があったといってもよかった。京橋支店の貝瀬郁夫支店長、担当者古里則夫は、法人部の責任を言い募るばかりで全く協力姿勢は見られない。

伊勢島ホテルの羽根専務は社長湯浅威を追い落とし、自身が社長になる計画を抱いていた。これを東京中央銀行の大和田常務が支援していたのだ。大和田貝瀬の2代前の京橋支店長であり、京橋支店に隠然たる力を維持していた。

その頃、京橋支店が担当する中堅電機メーカータミヤ電機へ出向となっていた近藤直弼は財務部長の職につきながらも情報を開示しない社長田宮基紀、財務課長野田英幸、そして融資の稟議をあげようとしない京橋支店の古里の間にたって、ストレスをためていた。意を決して野田の管理する会計帳簿をあけた近藤は表と裏の2種類の帳簿を発見する。粉飾だ。渋る田宮を説得し、近藤は銀行へ報告するとともに事業計画を練り直した。

更に調査を進めた近藤は4年前の融資が転貸されていることに気付いた。隠蔽される貸付先を少しずつ調べていった近藤は貸付企業ラファイエットの代表棚橋貴子の自宅を訪ね、意外な名前を表札にみた。”大和田”。棚橋貴子とは大和田の妻の名前だった。

伊勢島ホテルの運用損失を調べるうちに、半沢は責任をとらされた元財務課長戸越茂則に辿り着く。羽根らの運用の詰め腹を切らされた戸越は、半沢に促され伊勢島ホテルの損失穴埋め策を湯浅威社長に提言した。

加えて、戸越は重要な証言をする。京橋支店の古里にも融資前に運用損失のことは話していたと。白を切る古里だったが、戸越のうった一芝居で古里半沢に真実を告白した。半沢に脅された古里は、戸越の言葉を無視するよう指示した貝瀬支社長の直筆指示を入手し、半沢に渡す。ただし、裏には大和田常務の姿が見え隠れしていた。

そんな中、金融庁検査が始まる。主任検査官は黒崎駿一黒崎は伊勢島ホテルをこの検査の最重要案件と位置づけ、最初から対決姿勢を明確にする。運用損失の穴埋め策、今後の業績改善を語る半沢だったが、黒崎はこれにまったをかけた。システム開発を依頼しているシステム会社ナルセンが破綻するというのだ。寝耳に水の事実に驚愕する半沢だったが、黒崎に喧嘩をうってナルセンの破綻の事実を確認する時間を稼ぐ。

ナルセン破綻は事実だった。黒崎は何らかの情報源をもっているらしい。また、行内情報にも詳しい黒崎の情報源は行内関係者が疑われた。黒崎に喧嘩をうった半沢を非難する声が大和田大和田の意を受けた業務統括部長岸川から寄せられ、半沢は危機に追い込まれる。

半沢に蔑ろにされた黒埼の憤りは尋常ではない。伊勢島ホテルを分類債権にすることは勿論、半沢個人を検査忌避で挙げることに血道をあげる。ついには隠蔽資料を押さえるため、半沢の自宅に検査官をやったが何も見つかることはなかった。しかし、行内の情報提供者によって、黒崎はとうとう隠蔽資料の隠し場所を知ることになる。行内地図に記載されない地下2階のボイラー室である。

最後の対決に際して、黒崎は頭取中野渡の同席を求めると同時に、地下2階を封鎖して、出入り禁止とした。頭取の前で、伊勢島ホテルの分類と検査忌避を示し、半沢に屈辱を味あわせるためだ。



ちょっと今回は近藤の案件もあって盛り沢山という感じで、読み疲れはあるものの非常に楽しめました。スピード感があって、一気に読んでしまうというタイプの作品です。

しかし、今回の作品のクライマックスはやはり半沢黒崎の対決でしょう。当然、それまでの話の流れから結果はわかってはいるので安心ではあるのですが、それでもやはり緊迫感を感じるのは書き方が巧いんでしょうね。最後はちょっと滑稽でしたが・・・。

オレは基本は性善説だ。だが、やられたら、倍返し-」なんだか時代劇の決め台詞のようになってきましたね。でも、前作は10倍返しだったはずなんですが、次長になって半沢もまるくなっちゃったんでしょうか。

近藤の最後の決断は小市民的ですが、まぁあれでいいんででしょう。硬派な作品だと、わが身を省みず不正と戦っていく姿勢を崩さないんでしょうが、このシリーズではそのあたりが柔らかいですね。半沢前作では結局、上司を脅して昇格と異動をとりつけてますし。

今回は最後に(左遷とまではいわないまでも不本意な)異動となってしまった半沢ですが、是非続編に期待したいシリーズです。次は半沢が起死回生の活躍をし、部長に昇格するあたりで書かれるんでしょうか。だとしたら、次作はちょっと先かもしれませんね。

お奨め度:★★★★

再読推奨:★★★★

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『オレたちバブル入行組』 池井戸潤

Orebubble 2008年、124冊目。池井戸潤『オレたちバブル入行組』

溜飲が下がるとでもいうのでしょうか、非常に痛快です。

1989年(平成元年)入社のいわゆるバブル組(というよりも主人公半沢)の活躍を描く物語です。

1988年の採用活動で産業中央銀行が内定を出した慶応大学の5人。経済学部の半沢直樹渡真利忍押木、法学部の苅田、商学部の近藤直弼。バブルが崩壊する直前に入行した5人は、それぞれに夢を抱き、希望に胸を膨らませて銀行の門をくぐった。

時は流れて・・・。半沢直樹は、東京中央銀行(東京第一銀行と産業中央銀行の合併行)の大阪西支店融資課長の職にあった。

プロジェクト・ファイナンスを希望した渡真利は融資部企画グループ調査役。押木は9・11に遭遇し、行方不明となっていた。司法試験の合格を嘱望された苅田だったが、2年の猶予期間を経て合格できず、関西法務室調査役として冷や飯食いの状態。近藤も嘱望された秋葉原東口支店勤務でのプレッシャーに負け、統合失調症で1年間の休職をへてシステム部分室の調査役で出向まちの状態と、必ずしも入行当時の夢からは程遠い環境にあった。

半沢の大阪西支店が担当する企業西大阪スチールで粉飾決算が発覚した。この西大阪スチールへは5億円への融資を出したばかりだった。

無担保融資であるこの5億円に対して、差し押さえられるような資産はもはやなく、社長の東田満も雲隠れしている。「無様だな、半沢課長」深いため息とともに吐き捨てられた浅野匡支店長の言葉に半沢は息を飲んだ。

この案件は浅野が自身で発掘し、半沢が稟議に目を通すことを回避するようなスケジュールで無理矢理に浅野が決裁したものだったからだ。

東田社長のワンマンで意思決定がなされる西大阪スチールでは、波野経理課長も唯々諾々と従うばかりで決算は過去何年にもわたって改竄されてきたのだ。

行内では貸付実行から半年しないうちに倒産した、西大阪スチールへの貸付に対して責任を問う声が高まる。しかし、元人事部部長代理であった浅野支店長は本部への根回しを行い、全てが半沢のミスであるかのように工作する。これらの工作にも動じることなく反駁する半沢に、浅野は苛立ちを隠せない。業務統括部からの臨店で半沢を更に追い込もうとした浅野だったが、臨店した木村部長代理にもかみつく半沢の姿勢は変わらない。

情報通の渡真利は、行内の動向を半沢に伝え、債権回収しか半沢が救われる道はないと説く。不渡りによって連鎖倒産に追い込まれた竹下金属の竹下とともに、半沢東田の行方と隠し資産の有無を調べていった。

過去の決算書の不整合などから彼らは、この倒産が計画倒産であり、隠し資産がどこかにプールされているのではないかと気付く。まずは、マウイ島にある不動産を発見したが、相談した苅田によれば差し押さえは難しいという。

東田の振込履歴から辿った半沢は、アルツハイマーとなっている東田の妻の叔父小村武彦のマンションを突き止めた。マンションに張り込んだ竹下が撮った写真には東田のほかに意外な人物が写っていた。大阪西支店長浅野である。

留守中の浅野の鞄を漁った半沢らがみつけたのは、融資後に西大阪スチールから流れた5000万円が記帳された浅野の通帳だった。融資額5億円の1割である。この粉飾決算に浅野が一枚かんでいたことを確信した半沢は妻””の名前で通帳の存在を仄めかすメールを浅野に送りつける。

同時に東田の身辺を洗った竹下の情報から東田の隠し資産10億円が東京のニューヨーク・ハーバー証券に蓄えられていることが判明する。

まぁ、とにかく痛快です。実際にはサラリーマンとしてここまで放言できる人間はいませんし、いたらすぐにどこかへ飛ばされてしまいますので、現実的ではありませんが、だからこそ小説ではこうあって欲しいですね。

タイトルからして、もうちょっとバブル世代のおちゃらけた感じの話かと思っていましたが、そういうわけではなく、ちゃんと真面目に働く男たちの話です。バブル世代は”バブルに踊った”という先入観がどうしてもありますが、「別にバブル期に入社(入行)したからといって、遊んでいたたわけじゃないんだよ」ということを代弁してくれているようで、非常に愉快です。

半沢の妻の存在も効果的です。メーカーのような物づくりではないので、金融機関の仕事というのはなかなか一般の人には理解されないものです。会社(銀行)のことがわからずに、批判は非常に常識的というか、自己本位な発言になっていますので、半沢も会社(銀行)での価値観とのズレに戸惑います。勿論、正論ではあるんですが、そういった正論を通すことができないのが、サラリーマンのつらいところなんですけどね。半沢の苦衷がよくわかるような気がします。

しかし、半沢の性格がとにかくイイ。「オレは基本的に性善説だ。相手が善意であり、好意を見せるのであれば、誠心誠意それに応える。だが、やられたらやり返す。泣き寝入りはしない。十倍返しだ。そして--潰す。二度とはい上がれないように

カタルシスを感じるって、こういうことを言うんでしょうね。

次作『オレたち花のバブル組』も楽しみです。

お奨め度:★★★★

再読推奨:★★★★

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