『オール』 山田悠介
2009年、112冊目。山田悠介『オール』
山田悠介にしてはありきたりの話で、独特の毒のある設定ではありません。
何でも屋で働き始める青年の青春記といった感じでしょうか。
ゴミ屋敷
荻原健太郎(25)は2年前、アパレル関係の一流企業に就職し、東京に出てきたものの、刺激の少ない毎日に嫌気がさして退職してしまう。その後はバイトをして暮らす毎日。
田舎(高知)の母には退職のことは告げておらず、今でも一流企業に勤めているとの嘘を続けるのだった。
バイトを失くした健太郎は電柱の貼り紙に目を止めた。
「有限会社花田・あなたも何でも屋で働いてみませんか?アルバイト募集・・・・・・短時間で稼げます」
興味を持った健太郎は、そこで働き始める。
会社は社長花田彰三のほか、同僚に坊主頭の大男大熊徹(27)、痩せ細った天然パーマ長崎雄太(28)の二人。
働きはじめて間もなく、不思議な依頼が舞い込む。
メールで届いた依頼はこうだった。
題名「私を見つけて」
本文「ゴミ屋敷となっている私の自宅を片づけにきてはもらえませんか。報酬として五百万円お支払いいたします。そのかわり、午後の五時までに全ての作業を終わらせてほしいのです。どうかよろしくお願いします。」
不審な依頼であったが、報酬に目のくらんだ長崎は花田を説得する。
現場はまさにゴミ屋敷。
誰もいない屋敷に不法侵入し、早速掃除を始めるのだが・・・。
運び屋
健太郎の恋人渡辺梓がニューヨークから突然帰ってくる。
梓は健太郎が会社を辞めたことを知らず、健太郎もそれを言いそびれてしまう。
花田の留守中に長崎が受けた依頼は鍵のかかった黒いセカンドバッグを運ぶこと。明らかに怪しい依頼に躊躇する健太郎だったが、長崎はあっさり受けてしまう。
しかし、やはり中身はヤバイものだった。
届け先に向かう健太郎らの車を白いベンツがつけてくる。
逃げる健太郎らだったが、逃げ切ることはできない。更に、なぜか健太郎の携帯には白いベンツから電話が・・・。
政略結婚
中学生くらいの女の子三星尚子からの依頼は、親の反対で離れ離れとなった兄とその恋人を合わせたいというもの。
現代版ロミオとジュリエットという設定に健太郎は燃える。
母
連絡もなく、帰省もしない健太郎に痺れを切らした母が突然上京する。
しかし、面と向かって会社を辞めたことを告げることのできない健太郎は花田に仕事を依頼する。母に健太郎が仕事をしているところをそれとなく見せることを。
母に仕事を見せる前日、花田は健太郎に、大野家の老婦人の世話という名の、激しいホームヘルパー業務を肩代わりさせる。
最後の仕事
健太郎と母とのやり取りを見て、実家の畳屋を継ぐことを決意した長崎が何でも屋を辞めた。
しかし、その去り際は素っ気のないもので、大きな違和感を残す。
また、親密であったスナック『雫』のホステス中沢夏美にも告げずに、長崎は実家に戻ったのだ。夏美との間の約束が未だ履行されていないことを知った健太郎は、長崎の去り際の違和感を解消すべく、茨城の長崎の実家に向かうのだった。
こうやってありきたりの話だと、文章の稚拙さや設定の粗さが目立ちますね。
それに何でも屋っていうと、『まほろ駅前多田便利軒(三浦しをん)』を思い出してしまうので、ちょっと分が悪すぎますね。
個人的に好きではありませんが、突拍子もない毒のある設定(世界観)というのが山田悠介の真骨頂なんでしょう。
ゲームの世界のように、「何人倒した(殺した)」といったことを競うような、命の重さを蔑ろにするような子どもっぽい設定が持ち味っていうのもどうかとは思いますが・・・。
お奨め度:★★☆☆☆
再読推奨:★☆☆☆☆
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