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『アマルフィ』 真保裕一

Amalfi 2009年、80冊目。真保裕一『アマルフィ』

映画の原作、なんですか?

まぁ面白かったかな。

最初の方はテンポが悪いんですが、ラストは急展開で、なかなか楽しめましたね。

 

アテネでサミット妨害を図る過激な環境団体”ブルー・アース”の検挙に関与していた外交官黒田康作は外務次官片岡博嗣からローマに飛ぶよう指示を受ける。

テヴェレ川上流の日伊共同開発の調印式のためにローマを訪れる外務大臣川越亘の保護の任を受けたのだ。

外務省入省直後、中米に派遣された黒田だったが、現地大使の品性下劣さに嫌気がさし、大使と商社との癒着を調べ上げると、本省へ報告した。

しかし、本省高官のもみ消し工作により、大使は何事もなく、黒田の方が日本へ呼び戻された。その頃、邦人テロ対策室の設立に動いていた片岡黒田の経歴に目をつけ、黒田をテロ対策室のスペシャリストとして養成したのだ。

不正を暴く黒田は派遣される先々の大使館で警戒感をもたれ、白眼視された。

ローマでも大使菊原和夫と参事官西野利明黒田を隔離しようとする。

一方で、警備を進めようとする黒田は総務担当武藤暁彦(34)と警備担当の警察からの出向者、今村直也(42)に、警備・警戒の実状を尋ねるが、その対応は非常に甘いものだった。

間もなく、大使館に火炎瓶が投げ込まれる。イタリア国家警察警備局のカンピオ警視がこれに対応する。

続けて、日本人の誘拐事件が発生する。ローマを訪れた矢上紗江子(34)が同行した娘まどか(9)がホテルで行方不明になったのだ。迷子を疑う最中、紗江子の携帯に犯人から連絡が入る。

邦人保護担当領事として紗江子に応対していた黒田紗江子から電話を奪い取ると犯人の要求を聞く。犯人の要求は番号不揃いの使用済み紙幣で10万ユーロの身代金。

係わり合いを怖れた西野が示唆する、イタリアのマスコミの口の軽さを怖れた紗江子は警察に通報することなく、10万ユーロの要求を呑むことを決める。

外資系コックス銀行東京支店に勤める紗江子は会社からの融資を受けることに成功した。翌日、コックス銀行ローマ支店には、ロンドン本店のEU統括部長アンソニー・ハーディングが直々に駆けつけ、紗江子を励ました。

警察への通報を思いとどまった紗江子だったが、まどかの誘拐されたホテルが勝手に警察に通報したことから、イタリア国家警察ジョバンニ・バルトリーニ警部が紗江子のもとを訪ねてくる。誤報だと繰り返す黒田の言い分にバルトリーニは聞く耳を持たない。

大使館に場所を移し、事情聴取が行われる中、犯人から連絡が入る。

当初の予定通り、ユーロスターに乗れと。

事件への関与を避けようとする大使館だったが、邦人保護領事の本分として、黒田紗江子に付き添い、ユーロスターに乗るのだった。

更に犯人は、ナポリの先アマルフィへ行くことを指示する。アマルフィに着き、犯人の指示通り歩く紗江子は突然鞄を引っ手繰られてしまう。犯人による身代金の回収なのか、単なるスリなのかの判別がつかない中、秘かに見張っていた警察は引ったくり犯を追いかけてしまう。

犯人からは取引中止の連絡が入り、紗江子は絶望する。

絶望する紗江子を慰めたのは外交官補の安達香苗だった。まどかのために気を取り直した紗江子はローマに戻ると、秘かに調査を始めた。

大使館を避け、秘かに調査を続ける紗江子の態度に不審を感じた黒田紗江子のパソコンの履歴から、紗江子まどかが誘拐されたホテルの監視カメラの保守元を調べていることを突き止め、警備会社ミネルヴァ・セキュリティーへ向かった。しかし、応対する社員は守秘義務を楯に情報を開示しない。

ミネルヴァ・セキュリティーの日本人アシスタント光永鞠子からの好意と思われる社員名簿をもとに、関係者から地道に聞き取りをする二人は、ホスト・コンピュータのパスワードを盗み取ったとみられる怪しい人物マルセル・シモンに行き着く。しかし、犯人はマルセル・シモンではなかった。マルセル・シモンカルロ・オルシーニと名乗る男に名義を貸していたのだ。

カルロの住所チヴィタヴェッキアを訪ねた黒田紗江子は、連絡を受けて既に到着していた警察とともに、そこで夥しい血痕を確認する。誘拐事件に偽のカルロ・オルシーニが関与していたことを確信した黒田紗江子とともに、ミネルヴァ・セキュリティーに向かった。

ホスト・コンピュータに残された画像の分析の結果、誘拐時の映像データが上書きされていることが判明する。

バルトリーニらと復旧に立ち会っていた黒田だったが、事件の担当者として同席していた光永鞠子の様子がおかしいことに気付く。

突然、鞠子は隠し持った改造拳銃をかざすと、コンピュータ・ルームの非常ロックをかけた。更に、オペレータに携帯電話を渡すのだった。

オペラ座の回線をすべて切断しろ

携帯電話の声はオペラ座の警備を弱体化させるものだった。

この日、オペラ座ではサントーニ大統領夫妻が出席するコンサートが開催される予定だったのだ。

ジルヴァーゾ室長の機転で電源を全て切ると、照明もモニターも全てブラックアウトし、開いた扉からは警備員が押し寄せた。鞠子が取り押さえられるや、バルトリーニはオペラ座の警備強化を指示するのだった。

しかし、黒田は狡猾な犯人の思惑が更に深くあることを予想した。当日ローマを訪問中の要人は日本とロシアの外務大臣だった。川越外務大臣が狙われることを予想する黒田だったが、それも犯人たちのシナリオだった。

 

チェチェンとヴァチカンというなかなかタッチーな題材ではありますが、政治的な意図があるというよりも、盛り上げる舞台装置として使った感じです。

ストーリーはミネルヴァ・セキュリティーのホスト・コンピュータ停止からの展開が妙に速いのですが、それまでがちょっとつらいかもしれません。アマルフィでのひったくりはなかなか面白い趣向でしたが・・・。

一方で、キャラクター面では主人公の黒田の輪郭がわかりにくい。組織のなかで浮き上がってはいますが、その一方で、言っていることは真っ当で、それほど斜に構えているわけでもない。クセのあまりないキャラクターではあるのですが、その分面白みにも欠けるといえるかもしれません。

黒田とともに、娘の行方を追う矢上紗江子についても、あまり魅力的には映りません。事件を展開させる一つの歯車に過ぎず、どうも感情移入しにくいものがあります。

黒田のスタッフともいえる安達香苗については、今後に期待、という感じでしょうか。

そういう意味ではキャラクターで読ませる作品ではなく、ストーリーで読ませる作品といえるでしょう。

設定からして、何となく、続刊がありそうな、物語かもしれません。

お奨め度:★★★☆☆

再読推奨:★★★★

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受信: 2009年7月18日 (土) 09時36分

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