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『バイアウト (上・下)』 真山仁

Buyout1Buyout2 2009年、72冊目・73冊目。真山仁『バイアウト (上・下)』

『ハゲタカ』の続刊。

今回は鐘紡の買収劇をモデルにした話と、海外有力投資ファンドとの攻防を巡る話の二本立て。

隠蔽されていた三葉銀行、政財界の不正を暴いたことで日本にいられなくなった鷲津が、日本を離れて放浪するところから始まります。

 

1年の海外放浪を追え帰国した鷲津を迎えたのは、鷲津の後任社長であるアラン・ウォードの死の知らせだった。

アランの死には不審な点が多く、自身の身代わりとなって殺されたのではないかと気に病む鷲津だった。

アランの後任としてアメリカから送り込まれたピーター・マイスキーは日本の流儀を無視し、次々と国内の布石を潰していっていた。

その余波は松平貴子のミカドホテルをも襲った。鷲津の仲介で、ミカドホテルの株式の75%を有するふるさとファンドが、ホライズン・キャピタルとの繋がりを無視し、ゴールドバーグ・コールズにミカド株を売却してしまったのだ。

日本へ戻った鷲津アランが手がけていた鈴紡の企業再生案件に乗り出す。

UTB銀行頭取となっていた飯島は、アルコール中毒で入院中の妻亜希子のもとに通う芝野を呼びつけると、鈴紡の名誉顧問岩田春雄に引き合わせると、鈴紡のCRO(最高事業再構築責任者)に就任させるのだった。

不良債権の処理のため、鈴紡の化粧品部門を月華に売却しようと画策するUTBコーポレート銀行だったが、鈴紡の中では意見が錯綜していた。月華への売却を支持するメインバンクUTB出身者らに対し、社長らによるMBOを狙うアイアン・オックス陣営、そして化粧品事業担当役員らによるMBOを狙うホライズン・キャピタル陣営である。

月華買収案が優位となるなかではあったが、組合・販売店会の支援を受けたホライズン勢が盛り返す。鷲津に対してはある種の思いを抱く芝野ではあったが、CROの責務として、UTBの影を排するべく、化粧品事業をホライズンに委ねるとともに、残った部分の民事再生法適用を画策する。

しかし、鈴紡の破綻はUTB破綻の引き金にもなりかねないと考えたUTBは、第2の産業蘇生機構であるニッポン・ルネッサンス機構(NRO)への救済に持ち込んでしまう。

歯噛みをする鷲津芝野だったが、如何ともすることはできなかった。

曙電機は老舗の総合電機メーカーではあったが、業績悪化のなかリストラクチャリングが急務。芝野もまたCROとして招聘され、再生に意欲的な諸星恒平社長のもと、再生作業に向かおうとする矢先、ゴールドバーグ・コールズよりベア・ハッグを仕掛けられる。

GCの背後には政府にもパイプを持つ世界最大の軍産ファンド、プラザ・グループの姿があった。曙電機の持つミリ波の技術を欲したプラザは、曙電機の特機部を買収しようとしたのだ。

悩んだ末、芝野鷲津に相談する。

鷲津芝野とともにNROの総裁に就いていた飯島を脅迫にも似た話法で、NROに特機部門を買い上げさせることに成功する。勿論、こっそりと商業価値の高いミリ波の技術などを他部に移して・・・。

煮え湯を飲まされたプラザ・グループが黙っているはずもない。KKLに圧力をかけると、鷲津をホライズン・キャピタルから解雇する。また、病院から一時自宅に戻っていた芝野の妻亜希子に酒を送りつけ、アルコール中毒の再発へ誘った。

諸星を叱咤激励しつつ、曙電機の再生に向けて取り組む芝野だったが、曙電機のテレビ事業を欲していたシャイン社長滝本誠一郎と組み、再度プラザ・グループは曙電機のTOBを狙う。

一方、曙電機買収失敗の煽りを食らってGCを解雇されたリン・ハットフォード鷲津を慕う人びととともに、鷲津に再戦を促した。鷲津を代表として、新たに組成されたファンド、「サムライ・キャピタル」もまた、曙電機のTOBを狙うのだった。

資金力、政治力に優れたプラザの前に窮地に陥る曙電機を前に、芝野鷲津は手を組み、これに立ち向かうのだった。

 

今回、ホライズン・キャピタル会長という肩書きを捨てることで、「ハゲタカ」と巷間揶揄される強欲外資の枠から外れることで、何となく行動と肩書きが近づいた感のある鷲津です。そのわりには、現在は改題されて『ハゲタカ2』というそうですが・・・。

結局のところラストは鷲津芝野の共闘にも近い形になっており、鷲津がマスコミに触れたように、「日本対アメリカ(外資)」というわかりやすい構造になって、読みやすくなっています。

しかし、あまりにも単純化されてしまって、逆に物語の厚みが薄くなってしまったような気がしてなりません。

キャラクターでは松平貴子がまたしても登場ですが、前作に比して更に印象が薄く、そもそも出て来る意味が不明。結局役に立ったのは、ラストでアランと付き合っていた女性の素性を鷲津に明かしたことくらいでしょうか。

アランの謎の死から始まった物語ですが、結局のところ最後まで真相は謎のまま終わってしまいました。次巻以降に期待です。

お奨め度:★★★☆☆

再読推奨:★★★☆☆

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