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『パラドックス13』 東野圭吾

Paradox13 2009年、79冊目。東野圭吾『パラドックス13』

東野圭吾にしては珍しくSFですか。

ストーリーはまずまずなんですが、どうも根拠・設定が薄弱で最後まで違和感を持ってしまいました。

やっぱり、不思議な設定はどこかで腑に落ちないと作品の質を損なってしまいますね。

 

JAXA(宇宙航空研究開発機構)から首相に寄せられた情報は「P-13現象」と呼ばれる不可解な現象についてだった。

宇宙全体で3月13日13時13分13秒に時間が13秒だけ跳躍するというのだ。数学的に証明されるものの、何が起こるかわからないという現象を前に、パニックを防ぐという目的から緘口令が敷かれた。

ただし、この時間に(死亡)事件・事故を発生させた場合の不連続性を懸念した政府は警察などに、理由は伏せて同時間帯の警戒を呼びかけた。

警視庁捜査一課管理官久我誠哉は強盗殺人グループ検挙の指揮をとっていたが、そこへ同時間帯の捜査活動の自粛の要請連絡が入る。

しかし、先走った所轄の刑事でもある弟冬樹が逃げようとする犯人の車に飛びついた。慌てた誠哉は犯人確保の指示を出すが、狼狽した犯人の銃撃を受ける。

犯人の銃撃を受けて血を流す兄誠哉の姿を見て犯人ににじり寄る冬樹もまた銃撃を受けてしまう。

冬樹が気がつくと辺りには誰もおらず、事故った車やバイクが転々とするばかり。

誰も見当たらない街に不安を感じる冬樹はやがて一組の親子白木栄美子ミオに出会う。しかし、二人も冬樹と同様に事情が全くわからなかった。

銀座で巡りあったのは寿司屋で寿司を貪り食う太った男新藤太一

ラジオの呼びかけで他に生存者がいることを知った冬樹は三人を寿司屋に残すと、様子を探りに、呼びかけのあった「東京駅八重洲地下中央口」に向かった。

そこには兄誠哉のほか、大手建設会社のサラリーマン小峰義之、同専務戸田正勝。女子高生中原明日香、老夫婦山西繁雄春子。看護師富田菜々美の7人がいた。

ここに銀座の3人が合流し、合計11人となった。

誠哉をリーダーとして進む一行は赤ん坊の泣き声を聞く。マンションの一室に一人残された赤ん坊は勇人という名付けられていた。

相次ぐ地震により建物は倒壊し、道路は裂け、一行を取り巻く環境は刻一刻と厳しくなっていった。時間の経過とともに生鮮食料品は腐り、食べ物の補給もままならなくなっていく。

学校の体育館に避難する一行を残し、探索に出た誠哉は首相官邸で「P-13現象」の真実に辿り着いたが、これを他の人びとに伝えることはできなかった。

相対的に安全な首相官邸へ避難する途中、山西春子が転倒し、意識不明に陥る。病院もなく回復も見込めない春子の姿に、繁雄は全体利益のために春子の安楽死を選択する。

誠哉もまた新たな社会のルールの策定の必要を感じるのだった。

官邸に向かう途中で避難したホテルで、インフルエンザに苦しむヤクザ河瀬を見つけた一行は、仲間に加えるかどうかで議論になる。

加えて、河瀬のインフルエンザは山西繁雄にも感染していった。

山西を助けるべく、タミフルを求めて病院に向かった冬樹明日香だったが、途中で明日香もまた発症してしまう。明日香を抱えて立ち往生となった冬樹を助けたのは河瀬だった。

山西の死後、出発した一行は浸水した東京の街を津波を避けながら彷徨う。

総理官邸を目前に太一が地面の陥没に吸い込まれ、結局、官邸に辿り着いたのは13人中10人になっていた。

官邸について、初めて誠哉は一行に「P-13現象」について説明する。

13時13分13秒に死亡した動物は連続性が絶たれたために、このパラドックス解消の世界に残ったのだ。

元の世界に戻れるかもしれないと考えていた者たちにとって、ショックは非常に大きかった。自暴自棄に陥る人びとを前に、誠哉はこの世界で新たな社会を築くことを語るが、同調するものはなかなか現れなかった。

「P-13現象」の資料から36日後(4月18日13時13分13秒)に再度、「P-13現象」が起こることを知った小峰河瀬は、その時刻に再度死ぬことによって、元の世界に戻ることを夢見る。

正確な時間を知るために、電波時計を集める彼らだったが、どれも微妙にずれており、河瀬はその平均値を採用しようと提案する。

一方で、東京の浸水は進み、首相官邸も安全ではなくなってくる。誠哉は新たな土地を目指して出発しようと呼びかけるが、結局同調したのは白木栄美子ミオ富田菜々美勇人の4人だった。

約束の時間まで、あと2日。

誠哉たちが後にした官邸を強烈な地震が襲う。轟音とともに倒壊した官邸に閉じ込められた冬樹明日香は、瓦礫の中でそのときを待った。

しかし、地震による地盤沈下で上がった水が二人を沈めるのはそれよりも早い・・・。

 

東野圭吾によるSFという意外感だけで何とか読み終えましたが、やはり最後まで、どうも釈然としないままに終わってしまいました。

そもそもの設定自体が説明不足で、たった13人なのか、13人も、というべきなのか、「P-13現象」の起こった、その瞬間(この瞬間っていうのも、どうも微妙ですが・・・)に同時に亡くなったというのは、どうも納得感に乏しい。

突き詰めれば、10の何乗分の1かもわからない天文学的な極少の確率に合致するケースがそうそうあるわけでなし、東京の千代田区、中央区といった狭い範囲にそんな偶然が重なるとも思いにくい。

誠哉冬樹が同時にというのも何だし、同乗していたといえ小峰戸田ですら、死亡するタイミングは必ずしも同じとはいえないでしょう。

そう考え出すと、どうも基盤が脆弱で、ストーリー自体の面白さも半減です。

結末もよくわからなかったですね。

元の世界に戻ったのか、誠哉が語ったようにパラレルワールドへの復帰となったのか、これまた釈然としません。

ただ、そもそも今回の現象で取り上げられているような、極めて刹那的な意味で同時に死亡するという可能性は殆どないことを考えれば、この結末もお粗末ということになるのでしょうか。

ちょっと失敗作かもしれませんね。

お奨め度:★★★☆☆

再読推奨:★★☆☆☆

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