『神去なあなあ日常』 三浦しをん
2009年、78冊目。三浦しをん『神去なあなあ日常』
三重県の田舎での、林業のある生活。
自然と、神と、人が近い生活。
横浜の実家から追い出された主人公の、そんな生活が綴られます。
高校卒業後、フリーターのつもりの平野勇気だったが、卒業式の日、担任の熊谷、そして母親から就職が決まったと告げられる。
国が助成金を出している『緑の雇用』制度で三重県の神去村への派遣が決まったのだ。
そのまま追い出されるように、新横浜駅から神去村へ着いた勇気を山間の駅で迎えたのはヨキ(飯田予喜)という男。
森林組合の事務所で20日間の研修を受けた勇気は、ヨキに村の最奥部の「神去」地区にある中村林業株式会社に連れていかれ、”おやかた”中村清一の率いる班に組み入れられた。
メンバーは、清一、ヨキ、50代の田辺巌、74歳だという矍鑠たる老人小山三郎に勇気を加えて5人。
勇気はヨキの家で生活することになる。ヨキは妻みきと祖母繁ばあちゃんとの三人暮らしだった。
何もない生活と、厳しい林業の実態に逃げ出そうとする勇気だったが、慣れるにつれて、その生活が大事なものになってくる。
清一のもとへ時折訪れる妻祐子の妹直紀に憧れる勇気だったが、直紀にその気はなかった。直紀もまた清一に憧れていたのだ。
清一の息子山太の神隠し事件、花粉症発症、神去桜の花見、夏祭り、直紀への告白、と山の自然、山の神々との触れ合いのなかで、いくつかの経験を経て、秋。
”オオヤマヅミさん”の祭りを迎える。
由緒正しい祭りに際して、余所者の勇気を参加させないという雰囲気もあった。しかし、山火事に立ち向かう勇気の姿は村人をして勇気の参加を認めさせた。
祭りの当日。深夜2時にホラ貝の音が村中に響き渡った。
おそらくモデルとなっている村は三重県の一志郡美杉村(現在は津市に編入)。
松阪から名松線に乗った終点にある奈良県との県境の村です。
ただし、物語を面白くするためか、かなり大げさに書かれている部分はありますね。方言もどうなんでしょう。ちょっと不自然な気がしないではありません。あのあたりでも、こんな方言はなさそうな・・・。
しかし、こういっちゃなんですが、珍しい土地をモデルにしていますね。何か地縁でもあるんでしょうか。
話自体は、特に何があるというわけではありませんが、現在に残された奥深い村の生活、林業の実態を疑似体験するような話で、ほのぼのとした雰囲気を味わいつつ、知的好奇心を満足させるものになっています。
(横浜で育った少年が、そんなにすぐに田舎の生活に馴染んでしまうものか、という違和感がないではないものの、)主人公も変に優等生でなく、等身大に描かれており、非常に楽しく読めるものになっています。
お奨め度:★★★☆☆
再読推奨:★★★☆☆
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