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『スカイ・イクリプス』 森博嗣

Sky 2008年、132冊目。森博嗣『スカイ・イクリプス』

スカイクロラ」シリーズの新刊です。といっても、短編集で、いくつかの話はこれまで語られてきたエピソードを視点を変えて書かれているものなので、知っている内容ではあるんですが・・・。でも、それで見えてくるものもあるような、ないような・・・。

とにかく、わかりにくい作品なんですよね、「スカイクロラ」シリーズは。


ジャイロスコープ [視点:ササクラ笹倉永久)]

クサナギの散香のエンジンに手を入れるササクラ

「情報部」による広宣活動の一環で、クサナギをモデルとして写真がとられるとともに、散香での飛行もビデオ撮影が行われた。


ナイン・ライブス [視点:ティーチャ

ティーチャは基地に扶養手当を申請する。子どもと、同棲するモナミのために。

タカシラをリーダーとする3機は偵察任務の途中、海上で敵機と遭遇し、交戦に入ったが、一機を失った。

翌朝、ティーチャは四機で飛ぶ。偵察ではない。護衛任務にしても、かなり交戦の確率が高い体制だ。

綺麗に飛ぼう」彼はいった。


ワニング・ムーン

交戦中、主翼が接触して海上に不時着。海水は着実に浸入してきたが、パイロットは通りがかった船に救われた。

発見した副船長は自殺志願。海へ飛び込むために、夜の甲板に出て飛行機を発見したのだ。


スピッツ・ファイア [視点:客観]

基地から離れたコーヒーとパイの店。客は一人だけ。クサナギだ。

そこにやってきたのは新しく基地にやってきた男(カンナミ)。

店の前の酔った老人はクサナギカンナミに”神様”の存在を語る。バイクで帰るカンナミは基地に戻る途中で、立ち往生した車を見かけ、クサナギを後ろに乗せて基地へ戻る。


ハート・ドレイン [視点:カイ甲斐)]

午前5時。情報部のカイのもとにシモタから1本の電話が入る。

街の上で、戦闘機が爆撃機に体当たりし、両機ともに街中(学校と貨物駅)に墜落したのだ。処理にあたってカイは体当たりしたパイロットナヤバ中尉に話を聞きにいくが、病院でナヤバとともに飛んでいたパイロットクサナギに出会う。

カイは世間の感情に配慮し、体当たりをしたのがクサナギであるかのように公表した。

クサナギは転属となり、カイクサナギと同エリアの西域広報作戦部の部長代理に任命され転勤となる。この転勤の裏には上昇志向の強いK.Tカヤバ・タケモ)の意向も働いていた。


アース・ボーン [視点:マシマ

3対6の交戦で、リーダーのサカシロは撃墜され、マシマトキノだけが基地に戻った。

夜、トキノとともに出かけたマシマだったが、いつも相手にするマキは出てこなかった。代わりに出てきたのはフーコ

店を辞めることを語ったフーコから、半月後、基地の”みなさま”あてに絵葉書が届いた。


ドール・グローリィ [視点:クサナギ・ミズキ草薙瑞希)]

クサナギミズキは入院中のカンナミを見舞う。音楽の教師をするミズキのことをカンナミは顔は覚えているものの、誰かを記憶できていない。

ミズキは過去を思い出す。姉(草薙水素)に手を引かれて歩いた街で、姉は人を殺した。

探し当てたクリタ栗田仁郎)の告げた言葉(「ここで僕を撃って下さい。銃を持っているのでしょう?」)通り、クサナギは撃ったのだ。


スカイ・アッシュ [視点:クサナギ/カンナミ

車の故障でヒッチハイクする女性。現在無職(元パイロット)の女性は、あてもなく旅をしていた。

しかし、別の街で再度借りたレンタカーで辿り着いたのはフーコの店<<Fooco>>だった。



なんとなく意味深なフレーズが多いんですが、やっぱりよくわからないですね。

こういうことなんでしょうか。

草薙瑞希ティーチャ草薙水素の娘で、当初はティーチャが育てていた。(ナインライブス

キルドレに戻ったクサナギは記憶を維持することができず、過去のことを定着させることができない。そのため、成長した娘瑞希のことも記憶に留められない。(クレイドゥ・ザ・スカイドール・グローリィ

記憶を維持できないクサナギには、カンナミという新たな人格が設定され、別途、新たなクサナギが準備された。それが「クレイドゥ・ザ・スカイ」「スカイクロラ」に登場する草薙水素

即ち、 「ナ・バ・テア」→「ダウン・ツ・ヘヴン」→「フラッタ・リンツ・ライフ」の間のクサナギと、「クレィドゥ・ザ・スカイ」→「スカイクロラ」のクサナギは別人ということ。

本当にこうなのかなぁ、としっくりこない点は多々あるんですが、まぁこういう解釈もありということでしょうか。

ちょっと「カンナミ・ユーヒチ」という名前やフーコとの関係から、女性とは考えにくいんですが、確か「彼」といった表現はなかったように思われるので、こういう解釈もありか、と。

ただし、「ダウン・ツ・ヘヴン」で、クサナギカンナミは共演しているし、無理があるかとも思ってしまいますが、このカンナミは全くの別人と考えることも可能なので、まぁ何とかなるかもしれませんね。でも、だとしたら別人のクサナギって誰だったんでしょう。

まぁ、何通りもの解釈ができることがこの作品の良いところでもあるんでしょう。個人的には、この落ち着かない気分はあんまり嬉しくはありませんが。

お奨め度:★★★☆☆

再読推奨:★★★☆☆

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コメント

 感想読ませてもらいました。
私自身久しぶりに読んだ物語がスカイクロラシリーズだったので、大分はまっています。大変参考になる見解でした。また最初から読んでみようとおもいます

投稿: うにすけ | 2008年8月24日 (日) 02時50分

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