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『たぶん最後の御挨拶』 東野圭吾

Tabun 2008年41冊目。東野圭吾『たぶん最後の御挨拶』

東野圭吾の最後(?)のエッセイ集です。東野圭吾のエッセイって、『ちゃれんじ?』など面白くて好きなんですが、おそらく構成が落語のように”くすぐり”や”さげ”の部分があって、その部分が十分楽しませてくれているのではないでしょうか。今回は最後のエッセイ集ということもあってか、これまでの自作解説があったりと、ちょっと真面目な部分の強いものとなっています。

Ⅰ 年譜

 いわゆる生い立ちです。作家になるまでの話もありますが、その頃の話は『あの頃ぼくらはアホでした』に譲って、どちらかといえば上京してからのなかなか売れない時代の話が多くなっています。

Ⅱ 自作解説

 どんな経緯で書いたかとか、編集への皮肉。

Ⅲ 映画化など

 自作原作の映画にまつわるエピソード

Ⅳ 思い出 Ⅴ 好きなもの Ⅵ スポーツ Ⅶ 作家の日々

 各種雑誌掲載の小文をテーマ(?)別に・・・

やっぱり面白いですね。著作となる小説から抱く印象とは異なる若干毒を吐くようなコメントが良いですね。特に、各賞への連続落選を続ける中で、(読者を楽しませるという目的も多分にあるのでしょうが)自嘲的になるのではなく、書評、評論家が悪いんだというふてぶてしさは、何となく世の中うまくいかないなぁと感じている読者の共感をよびます。落選を笑った編集者に対して「もし自分が売れっ子作家になっても、絶対こいつの会社では書かないぞと決意した。」というところも、「偉い作家先生」ではなく飾らない本音(?)の部分が出ていて面白いです。

また、交友する作家たちの描写も秀逸です。真保裕一北方謙三福井晴敏など今や売れっ子の作家たちも、ちょっとヌケたところのある愛すべき性格をもった人々というように描かれ、微苦笑を誘われます。”そうか。こういう人なのか。”という印象を読者に与えてしまいますので、もしかすると建前とは別にエッセイを禁ずることとなった遠因には、こういった同業者からのクレームもあったのかもしれません。勿論、そんなことで止めるとはとても思えませんが。

しかし、年譜を見ると、東野圭吾の作家デビューって早いんですね。乱歩賞をとってから十年以上も売れない時代が続いた(といっても、毎年のようにあれだけの作品が出版できるのですから十分売れているのだとは思いますが)とは思いませんでした。

最初に読んだのが『予知夢』だったので、デビューしてから随分後になって知ったということですね。ただ、それから過去の作品を遡って読んでいったわけですが、なぜその頃の作品が売れずに、今売れるようになっているのかの理由は未だによくわかりません。このエッセイでも触れていますが、賞ってどうやって決まるんでしょう『容疑者xの献身』は良い作品だと思いますが、何故『秘密』ではダメだったんでしょうか。不思議です。

このカバーは夢吉(ポン)の毛ですか?なかなかシュールですね。

お奨め度:★★★☆☆(東野圭吾の作品が好きな方は一読の価値あり)

再読推奨:★★★☆☆

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コメント

はじめまして。私も東野圭吾は好きで、ほとんどの作品を読んでいます。一番最初に読んだのが「鳥人計画」。一番好きな作品でもあります。東野作品は当たりはずれが少なくていいですね。

私も東野作品の書評を3つほど書いています。よかったら読んでみてください。

投稿: 三毛ネコ | 2008年3月10日 (月) 12時53分

三毛ネコさん、コメントありがとうございます。
「鳥人計画」とはなかなか渋いのがお好きですね。
私の中では「秘密」がかなり頭抜けてNo1です。次は「時生」かな。
多分、既婚男性であれば、多くの人が最後のシーンは涙なくして読めないんじゃないかと思ってしまいます。

ご指摘のように、東野作品はあまりブレがないうえに、多作であることが読書愛好家には非常にありがたいですね。

投稿: 帝王(ティオ) | 2008年3月10日 (月) 22時32分

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