『少年鉄人』 山下貴光

Syonentetsujin 2009年、113冊目。山下貴光『少年鉄人』

山田悠介のあとに読んだ作品だからでしょうか。非常に文章がこなれていますし、印象的な表現が多い。

うまく書くよなぁと印象的なシーンも多い作品です。

若干気恥ずかしい感じもしないではないですが、キャラクターもそれぞれに光っていて、読んでいて清清しく、気持ちよい。

 

限定フィギュアを買いに近道をした瀬尾太一は狭い路地で足を止められる。

ジャージ姿の二人組がフィギュアを買いに走る子どもから金を巻き上げるために網をはっていた。

窮する太一の前に姿を現われた正義の味方は坊主頭の中学生と思しき少年。彼は「助けてやる」と告げるとジャージの二人に向かっていくが、あっさりとやられてしまう。

世界を変えるために、やれることを放棄しない」ことを信条とした少年は困っている太一を見過ごせなかったのだ。

名前も聞かずに別れた二人だったが、翌日再会することになる。少年が6年2組に転校生としてやってくる。

少年の名は「今井鉄人」。

隣の地区の学校で変態教師の担任(ピーゴリ)を殴って転校してきたという専らの噂だ。

そんな評判もあってか、太一のほかにも鉄人を気にする者があった。クラスで王様然として振舞う大江和真である。クラスの王様であることにイライラとしながらも、寂しさを感じていた和真は、父親がいない(鉄人は死別、和真は離婚)という共通点もあって、気になって仕方がない。

当初は馴れ馴れしく振舞う鉄人に戸惑う和真だったが、太一や優等生の森崎義之、学級委員町村千秋を誘い、一方的に友達宣言する鉄人に、和真の頑なだった心も解けていく。

こうして鉄人のもと、なし崩しに友だちになった5人は秘密の共有をもって、友だちの証としようとする。

鉄人が紹介した自身の秘密は、鉄人仙人と称するホームレス。

やれることを放棄するな」の言葉も仙人から得たものだった。

太一仙人から得た助言は「強さを守れ

この言葉を受けた太一は強さを取り戻すため、ジャージの二人組との対決することを決意する。対決の傍らには友達である鉄人和真の姿もあった。(勿論、三人とも返り討ちに会うのだが・・・。)

一方、街は通り魔事件で持ちきりだった。

そして、とうとう身近な人間が通り魔の犠牲となった。

太一らがよく行くたこ焼き屋店主忍者さん服部善蔵)の想い人沙織さんだ。

自身の力で犯人を捕まえようとする忍者さん(と友人たち)に協力しようとする鉄人和真だったが、太一はこれに付き合うことができない。

義之と先約があったのだ。義之に連れられて太一が出会ったのは「喧嘩屋」と称する高校生。千円で喧嘩(制裁)を請け負うという喧嘩屋に、義之は「僕に喧嘩を教えてください」と申し込むのだった。

最初は断る喧嘩屋だったが、(太一には秘密の)事情を義之から聞いた喧嘩屋は自身の経験にも照らし、二人に喧嘩を教えることを承諾する。

忍者さんに協力を断られた鉄人和真だったが、翌日事情は変わった。和真も面識のできた鉄人の前の学校の友達公彦もまた通り魔に襲われたのだ。自身のこととして犯人探しに協力を申し出る鉄人たちに忍者さんも同行を認めるのだった。

間もなく、犯人が捕まるが、沙織さん公彦の事件は別人の犯行であることがわかる。

沙織さん事件の犯人は忍者さんに暴行を受けたサラリーマンの逆恨みだった。真犯人を捕まえた忍者さんだったが、犯人のサラリーマンの起こした事件は沙織の一件だけで、公彦の事件はまた別の者の犯行だった。

一方、一週間の約束で喧嘩修業を受けた義之は、千秋の家に乗り込んだ。千秋が父親から虐待を受けていることに気づいた義之は父親に立ち向かうため、喧嘩修業に励んだのだ。千秋が父親の虐待を受けていること。それが秘密だったのだ。

義之を制止できない太一鉄人喧嘩屋に電話し、喧嘩屋とともに千秋の家に乗り込むのだった。

圧倒的な喧嘩屋の力の前に、事態は漸く収束する。

 

そして、突然、鉄人がいなくなった。

鉄人は一人で厄介ごとを抱え込んでいるに違いないと睨んだ4人は仙人忍者さんらの協力も得て、ようやく鉄人を見つけ出すのだが、そこには・・・。

 

面白かった。

最初は風の又三郎的な役所かとも思いましたが、最後まで鉄人が主役といっていい作品です。ただし、鉄人は、ちょっと出来すぎのキャラクターで、少しずつ影・悩みを持つ太一和真といった等身大のキャラクターに比べると、キャラクターというよりも装置といった印象が強いのが玉に瑕でしょうか。

ストーリー自体も単に鉄人が新たに友人を作る過程で起こるいろいろな身近な出来事を語るだけでなく、前作の『屋上ミサイル』と同様に、裏で別のストーリーが走っています。

テレビで放送される内容が絡んでくるところなんかはよく似ていますし、今回はその内容が鉄人の父親の死に係わる話で、併せて楽しむことができます。

仙人和真の秘密基地が、そのサイドストーリーと関係するというのは、ちょっと出来すぎかもしれませんが、(若干わざとらしい部分もありますが)なかなか面白かったです。

後味の悪くない作品です。

お奨め度:★★★★

再読推奨:★★★★

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『オール』 山田悠介

All 2009年、112冊目。山田悠介『オール』

山田悠介にしてはありきたりの話で、独特の毒のある設定ではありません。

何でも屋で働き始める青年の青春記といった感じでしょうか。

 

ゴミ屋敷

荻原健太郎(25)は2年前、アパレル関係の一流企業に就職し、東京に出てきたものの、刺激の少ない毎日に嫌気がさして退職してしまう。その後はバイトをして暮らす毎日。

田舎(高知)の母には退職のことは告げておらず、今でも一流企業に勤めているとの嘘を続けるのだった。

バイトを失くした健太郎は電柱の貼り紙に目を止めた。

有限会社花田・あなたも何でも屋で働いてみませんか?アルバイト募集・・・・・・短時間で稼げます

興味を持った健太郎は、そこで働き始める。

会社は社長花田彰三のほか、同僚に坊主頭の大男大熊徹(27)、痩せ細った天然パーマ長崎雄太(28)の二人。

働きはじめて間もなく、不思議な依頼が舞い込む。

メールで届いた依頼はこうだった。

題名「私を見つけて

本文「ゴミ屋敷となっている私の自宅を片づけにきてはもらえませんか。報酬として五百万円お支払いいたします。そのかわり、午後の五時までに全ての作業を終わらせてほしいのです。どうかよろしくお願いします。

不審な依頼であったが、報酬に目のくらんだ長崎花田を説得する。

現場はまさにゴミ屋敷。

誰もいない屋敷に不法侵入し、早速掃除を始めるのだが・・・。

 

運び屋

健太郎の恋人渡辺梓がニューヨークから突然帰ってくる。

健太郎が会社を辞めたことを知らず、健太郎もそれを言いそびれてしまう。

花田の留守中に長崎が受けた依頼は鍵のかかった黒いセカンドバッグを運ぶこと。明らかに怪しい依頼に躊躇する健太郎だったが、長崎はあっさり受けてしまう。

しかし、やはり中身はヤバイものだった。

届け先に向かう健太郎らの車を白いベンツがつけてくる。

逃げる健太郎らだったが、逃げ切ることはできない。更に、なぜか健太郎の携帯には白いベンツから電話が・・・。

 

政略結婚

中学生くらいの女の子三星尚子からの依頼は、親の反対で離れ離れとなった兄とその恋人を合わせたいというもの。

現代版ロミオとジュリエットという設定に健太郎は燃える。

 

連絡もなく、帰省もしない健太郎に痺れを切らした母が突然上京する。

しかし、面と向かって会社を辞めたことを告げることのできない健太郎花田に仕事を依頼する。母に健太郎が仕事をしているところをそれとなく見せることを。

母に仕事を見せる前日、花田健太郎に、大野家の老婦人の世話という名の、激しいホームヘルパー業務を肩代わりさせる。

 

最後の仕事

健太郎と母とのやり取りを見て、実家の畳屋を継ぐことを決意した長崎が何でも屋を辞めた。

しかし、その去り際は素っ気のないもので、大きな違和感を残す。

また、親密であったスナック『雫』のホステス中沢夏美にも告げずに、長崎は実家に戻ったのだ。夏美との間の約束が未だ履行されていないことを知った健太郎は、長崎の去り際の違和感を解消すべく、茨城の長崎の実家に向かうのだった。

 

こうやってありきたりの話だと、文章の稚拙さや設定の粗さが目立ちますね。

それに何でも屋っていうと、『まほろ駅前多田便利軒三浦しをん)』を思い出してしまうので、ちょっと分が悪すぎますね。

個人的に好きではありませんが、突拍子もない毒のある設定(世界観)というのが山田悠介の真骨頂なんでしょう。

ゲームの世界のように、「何人倒した(殺した)」といったことを競うような、命の重さを蔑ろにするような子どもっぽい設定が持ち味っていうのもどうかとは思いますが・・・。

お奨め度:★★☆☆☆

再読推奨:☆☆☆☆

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『透明約束』 川上健一

Toumeiyakusoku 2009年、111冊目。川上健一『透明約束』

なぜかカナダをテーマにした短編集。

特に大きなイベントがあるわけでもない。ちょっとした出来事、転機を綴った話。

全体のバランスもいい。最初の方は、どちらかといえば淡々とした話ですが、少しずつ叙情的というか、ぐっとくるような作品になっていくという構成になっています。

 

カナダ通り

高校3年間を無遅刻・無欠席で通う、片道1時間35分の道のり。その途中の緑町商店街。カナダの国旗がかかった、その通りを由里絵はカナダ通りと名付けた。

カナダ通りで出会ったケーキ屋が由里絵の運命を変えた。

 

夜間飛行

有限会社笹井製作所。父が起こした会社(ネジ製作)を継いだ笹井周一は、堅実に働き続ける。とはいっても、小さなネジ製作のこと。生活が豊かになり、余裕が出てくるわけでもない。

そんな生活にあっても、彼には妻温子と約束した”カナダへの旅”の夢があった。

 

オーロラ爆発

仕事を優先し、娘メグミを母トシコに預けた彩子だったが、最近のメグミの行動に戸惑っていた。

タバコ、暴力、万引と次々と問題を起こすメグミを叱責する彩子だったが、メグミは聞く耳をもたない。そんなメグミと掴み合いの喧嘩になる彩子

そんな関係を修復するべく、彩子メグミをイエローナイフのオーロラ見物ツアーに誘った。

 

バンクーバーの雪だるま

青井友はカナダに住む坂崎広介に別れを告げるため、バンクーバーを訪ねた。

ギターを作るためにカナダに渡った広介と結婚を誓うだったが、両親の反対から結婚には至らなかった。更に、喘息で役所を休みがちになった父、寝込むことが多くなった母の世話、看病で、7年の月日はあっという間に過ぎ去っていった。

 

天国にもない島

不倫の果てに破局したエミは、12年前に離婚した父のもとを訪ねた。

父の住むソルト・スプリング・アイランドは”世界の中でも土地のエナジーが高い”と言われるところ。

何度か恋をして男女のことが少しは理解できるようになったエミは、父と母から父を奪った、腹違いの妹サラに会いに、そしてエナジー・チャージをするために、ソルト・スプリング・アイランドにやってきた。

 

全日本スキップ同好会

バンフ・スプリングス・ホテルのゴルフコースでのグルフ三昧のためにカナダを訪れた4人組は高校時代の同級生。

ゴルフが唯一の趣味の仲間は定年退職を迎える年に夢のゴルフコースでプレーしようと決意した彼らは毎月5千円の積み立てを始めたのだ。

2日の滞在でゴルフ以外の観光はせず、ゴルフを満喫した彼らは町外れのオープン・カフェで来られなかった仲間のことを話し始める。

 

ラッキーハンド

昌治は定年退職の日、妻郁恵に「カナダ VIA鉄道カナディアン号 バンクーバー・トロント間三泊四日の旅」の話を切り出す。朴念仁の夫の隠し球に驚く郁恵だったが、既に決意していた離婚を翻すことはなかった。

離婚をつきつけられた昌治は驚くが、最後の願いとしてカナダへの旅行に郁恵を誘う。

旅先の昌治は30年間の結婚生活では見ることのない別人だった。

 

二十五年目の愛してる

定年まで6年も残し、リストラされた不器用な夫康夫。うちひしがれてしょんぼりしている夫を目にして、突然、登美子の喉にせり上がってきた言葉があった。

『愛してる』

その一言を言うためだけに、登美子は『赤毛のアン』の舞台、プリンスエドワード島への旅を決めるのだった。

 

透明約束

信夫は末期ガンの宣告を受け、余命いくばくもない。その病室では息子たちが遺産相続でもめる。

雅子は眉を顰めるが、信夫はこだわらない。そんなとき、信夫がポツリと呟いた。

思い出した・・・・・・ 透明約束

透明約束。それは信夫の定年記念に訪れたルーネンバーグで交わした、最期のときの約束だった。

 

極夜

30年前、小学4年の塚田俊雄が母とともに通った喫茶店『白夜』(冬は『極夜』という店名)。そこの店主、アーマイさん(「アーマイ(イヌイット語で「私は知らない」の意)」が口癖)は俊雄を可愛がる。

アーマイさんの作る空想上の乗り物は俊雄を魅了し、俊雄は購入を申し出る。「予約済」の紙が張られた飛行船「白夜号・極夜号」だったが、購入にいたることなく、俊雄は町を離れてしまう。

 

どの作品もいいなぁと思うような(自身のこととして体験した場合に、何らかを感じるような)作品です。

全日本スキップ同好会も全体のなかでは一風変わっていて、ある種愉快な話でがあるのですが、その底流に人生の終盤に入って感じるもの、といったような寂しさもあって、味わい深い作品です。

そういえば、この短編集は大きく二つの流れに分類することができるのかもしれません。相対的に若い女性の人生の転機となる話と、人生の晩年を迎えて感じること、といったような2系統でしょうか。(夜間飛行極夜はちょっと違いますが・・・)

この作品の中で貶している、読んでしまったらすぐに忘れてしまうような作品でなく、記憶に残るような話でした。

お奨め度:★★★☆☆

再読推奨:★★★☆☆

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『青春夜明け前』 重松清

Seisyunyoake 2009年、110冊目。重松清『青春夜明け前』

重松清流、青春小説短編集ってやつでしょうか。

爽やかというより、ベタベタで、馬鹿馬鹿しく、何だか気恥ずかしくなるような話です。

 

とんがらし

小学5年のヒロシ大西藤木の3人は秘密裡に「とんがらし同盟」を結成していた。

合言葉は『いざとなったら玉を出せ!』(by新八犬伝)で、自身の玉を出すのだ。とんがらしとは一緒に出るサオのこと。

秋から春にかけて閉ざされた板張りの小屋、通称”ちん小屋”でのエロの数々。

 

モズクとヒジキと屋上で

学年一の不細工を争うモズクヒジキは親友。

モズクは入学直後、門田モンちゃん)に一目惚れする。その態度がミエミエなだけに門田も気づくが、勿論そんな気はない。

修学旅行を前に、ヒジキが関心を持っていると言われたのは門田の親友小林ユウ)。

学年一凶暴なヒジキに呼び出された小林は、門田モズクを交際させるのに協力するか、自分(ヒジキ)と(小林が)交際することにするかという究極の二者択一を求める。

 

タツへのせんべつ

中学に入学して間もなく、突然親友のタツが東京に転校することが決まった。ヒロシは一人東京で戦うタツに素晴らしいせんべつを送ろうと考えた。

兄の進言で女性の陰毛がいいと知ったヒロシだったが・・・。

 

俺の空、くもり。

高校3年の夏。1年の頃からつるんできた5人(スギヤマ、ノムさん、イトー、シミズ、ヒロ)のなかから初めて、女とやった奴が現れた。

卒業までに次から次へと童貞を失っていくなか、最後まで童貞を守ってしまったヒロからの暴露話。

 

横須賀ベルトを知ってるかい?

転校生は黒のダボシャツに背広を羽織って教室に現れた。

オレ、流れ者だから」と自己紹介した伊達草平は大言壮語を地でいくアホだった。

上級生も様子見するなか、上級生から伊達を締めるよう命じられた松本吉冨だったが・・・。

 

でぃくしょなりぃ

「でぃくしょなりぃ」とは、誰が言い出したのか「男と女がデキている」こと。

オトコが命を賭けるのは、野球とバイクと矢沢永吉という、お馬鹿な中学2年の5人組、自称”五家宝連”。

彼らが倒すべき相手は、まじめで爽やかで勉強もスポーツもそこそこ得意で、女子とも気軽に話ができる奴ら、所謂(女)タラシである。

しかし、メンバーの一人ヒコゾウは下駄箱に入っていたラブレターが入っていたことで・・・。

 

春じゃったか?

高校卒業間際、中学時代の同級生ギュウちゃん牛田純一)の三回忌の知らせが届く。

乱暴でガラの悪いギュウちゃんに良い想い出はないものの、誰もが断る踏ん切りもつかない。

卒業を前に不安定に揺れるヒロは「友だち」のナベちゃんに相談する。

 

なぜでしょう。ヒロとかヒロシといった名前の主人公が多い作品です。おそらくつながりはないんでしょうが、妙に気になります。

いつものパターンですが、作者が作者自身の過去を語るとでもいった文体で描かれ、妙に生々しい。同世代には極めて懐かしい感じはするものの、あまりにもベタで、人にはなかなか推奨しにくいタイプの作品ですね。

一言でいって、「昔はバカなことばっかりしてたよなぁ」と子ども時代を振り返って、懐かしくも恥ずかしくなる作品集といえるでしょうか。

お奨め度:★★☆☆☆

再読推奨:☆☆☆☆

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『よもぎ学園高等学校蹴球部』 松波太郎

Yomogi 2009年、109冊目。松波太郎『よもぎ学園高等学校蹴球部』

はっきりいって、つまらない。

タイトルに騙されちゃダメだな、と痛感した一冊。

確かにサッカーは描かれちゃいるものの、かなり添え物的で、こういったスポーツにつきものの団結・チームワークといったようなものも曖昧。

最低なのは、後年、故人となった監督を腐す態度。こういった人間の限界や外見と本音の違いを悲哀とみるのだとすれば、面倒くさい作品です。

 

よもぎ学園高等学校蹴球部

四日市東高校の自転車置き場では、名張工業高校戦のキックオフを前に、よもぎ学園高校の選手が泣いていた。

よもぎ学園高校の女監督森将子が突然、自身にとってもこれが最後の試合であることを告げたからだ。

やる気も実力もないよもぎ学園高校は監督だけが熱血。この日も3年生にとっては最後の試合であるにも関らず、レギュラーメンバー丸山哲太がユニフォームを忘れてくるなど、やる気のなさは一目瞭然で(監督が棄権を進言するほど)だった。しかし、監督の告白を受けて、実力差が明らかな”バリ工”(名張工業高校)に勝つべく、少しだけ燃えるよもぎ高校のイレブンだった。

しかし、気力だけで試合が覆るわけもなく、次々と点差を広げられてしまうよもぎ学園。

GKで主将の伊庭勝は、かつて伊庭をいじめていたバリ工の選手からの脅しを受け、萎縮していた。一方的な試合のなか、右MF星文規は3人の選手に周りを三角に取り囲まれボール回しで嘲弄するなど、やりたい放題のバリ工。

 

そんな試合を振り返りつつ、今や大人になった当時の3年生星文規伊庭勝からの連絡を受け、松波とともに3人で、嬉野にある亡くなった監督の家に向かうのだった。

印象的な試合を心のなかで反芻するとは裏腹に、松波らは監督を偲ぶでもなく、熱血だった(亡くなった)監督を嘲笑し、批判するのだった。

 

廃車

宝田は宇都宮大学国際学部の4年生。なぜか、無職の猫木豊に尽くす女。

猫木に魅力があるわけではなく、理不尽かつ小心者の男。

そんな猫木の中古のミラは故障がちで、時折動かなくなってしまう。もともと6万5千円という破格値の代物ではあったのだが・・・。

車の維持が面倒になった猫木は、知人のスミスさんの友人バドさん経由で宇都宮大学の中国人留学生何陶陽にミラをタダで譲る。

しかし、いつまでたっても名義変更を行わないにイライラしていた猫木のところへ、からミラを廃車にするとの連絡が・・・。

あなた、自分のやってることわかてる?

旅先で止まってしまったミラを前に大散財となったは、猫木が騙して壊れた車を押し付けたのだとなじるのだ。

中国人だから差別しているのだと非難するを前に戸惑う猫木だったが・・・。

 

三重県を舞台とした作品で、地元の人は面白いかもしれませんが、ただそれだけ。

途中に監督の卒論が長々と挿入されるものの、意図がよくわからない。話のなかで何か意味を持ったんでしょうか。

高校サッカー部の監督が女性で、サッカーへの情熱をもって指導するという設定の面白さはあるんですが、どうして(安直ではあるものの)ここに焦点を当てなかったのか不思議。

ましてや、試合後の再登場はガンによる病死の故人としてとは・・・。

全くよくわからない作品でした。

『廃車』もまた、よくわからない作品。主人公の性格が卑屈に、かつ小心者で、破綻しており、DV男的で、馴染めない。

加えて、時点が途中で前後することで、話が更によくわからなくなってしまいます。

中国人差別問題にしても、流されるだけで、自我が確立していないような危うさが非常に気持ち悪さを感じさせます。

宝田の存在もどうも落ち着きが悪く、最後まで、嫌な感じの残る作品でした。

お奨め度:☆☆☆☆

再読推奨:☆☆☆☆☆

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『あるキング』 伊坂幸太郎

Aruking 2009年、108冊目。伊坂幸太郎『あるキング』

一人の天才(異能)バッターの神話といったような話。

野球が題材だから面白そうと考えるなら裏切られる。

試合がどうこうというよりも、打てばホームランというようなバッターの話が面白いはずもありません。通常の野球を題材とした小説では、試合での挫折等が用意されるのでしょうが、この作品では主人公が異能のバッターであるため、野球そのものでの挫折がありません。そのため、起伏をつけるべく、外的な要因で野球から離れさせるだとか、悪意がとりまくだとか、非常に面倒くさい話になっています。

野球の痛快さを求める人には向かない作品でしょう。

 

セ・リーグで万年最下位の仙醍キングスの熱狂的ファン山田亮桐子夫妻に子どもが生まれたのは仙醍キングスの英雄南雲慎平太監督の引退試合の日。

既に順位も確定し、南雲に花道を飾らせるものと思われた試合だったが、仙醍キングスは東郷ジャイアンツの前に14点差もの惨敗を喫する。加えて、ファウルボールを避けた南雲は転んだ拍子にベンチの端に頭を打ったことをきっかけに死亡してしまう。

そんな無惨な試合のなか、山田亮桐子夫妻の間に生まれた男の子は王求と名付けられた。

両親は王求が将来仙醍キングスで活躍することを夢見て(予見・確信して)、王求を支援する。

また、王求もそれが当然であるかのように野球に打ち込み、その才能を開花させていく。

10歳のときには全てホームランとしてしまう王求のバットの前に、対戦チームは敬遠を余儀なくされる。両親は敬遠を避けるために相手チームに金を支払う始末だった。

王求はチームへ野球指導にやってきた東郷ジャイアンツのピッチャー鈴木卓の本気の球さえホームランしてしまう。

しかし、王求の前の道は平坦なものではなかった。仙醍東第五中学に入学した王求は3年生森久信に目をつけられ、その暴力に見舞われる。これに気づいた父を諌めるべくの家まで赴いたものの、勢いあまって殺してしまう。(秘かに埋められたは行方不明扱いとなる。)

高校に入って間もなく、殺害の事実が発覚する。このことで王求は高校中退を余儀なくされるとともに、世間からも「殺人犯の息子」として非難の目を向けられることとなってしまう。

そんな王求の前に仙醍キングスへの道は閉ざされたはずであったが、中学時代の友人乃木洋の偽名でプロテストを受けた王求は当然のように合格してしまう。間もなく素性が発覚した王求の入団は取り消しとなるところであったが、偶然プロテストを覗きにきていたオーナー服部勘太郎は「面白い」の一言で王求を入団させるのだった。

王求の実力は本物だった。プロ野球でも王求はホームラン記録も次々と塗り替え、打率も6割・7割は当然という非常識な数値をたたき出す。

私はあまり認めたくない

生真面目な性格の仙醍キングス監督駒込良和は、いくら才能やセンスに恵まれていても、殺人犯の息子をプロ野球選手として育成することに抵抗を覚えていたのだ。

あからさまに王求へのいやがらせを行う駒込だったが、それで腐る王求でもなかった。

王求に逆恨みする男からの投書に少しずつ洗脳されていった駒込にとって、王求は許せない存在だった。

王求23歳の最終戦。試合途中、駒込の意を受けた打撃コーチは刃物で王求の腹を刺す。

そして王求は9回裏ツーアウトの最後のバッターボックスに立った。

 

出だしの平凡な熱狂的な野球(仙醍キングス)ファンの出産から始まった話が、なぜか神話(王=神)のような話になってしまうことに違和感を感じないではありません。

なぜ、王求が天才バッターであるのか、といった解説は全くなし。

オカルト的な何かとも言えないものの、南雲慎平太の幽霊や謎の3人の女性等、奇妙な登場人物が出ることで、不思議な雰囲気をかもし出しています。

そういう意味でも、無理に理屈をつめるというよりも、その不思議な出来事も素直にそのままに受け取って、純粋に事象自体をみる作品であり、神話なんでしょう。

作者としては高尚な作品を書いて、何がしかの賞を狙ったのかもしれませんが、小説の面白さとしてはどうでしょうか。あまり面白いとは思えない作品でした。

お奨め度:☆☆☆☆

再読推奨:☆☆☆☆☆

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『デパートへ行こう!』 真保裕一

Depart 2009年、107冊目。真保裕一『デパートへ行こう!』

面白いものの、テレビ的。

設定が出来すぎで、あまりにもわざとらしい。

そのあたりの好悪で評価がわかれる作品かもしれません。

軽く読んでしまうタイプの作品で、あまり後に残らない。

時間つぶしに読むのに相応しい作品かもしれません。

 

老舗百貨店鈴膳百貨店は百貨店業界の荒波のなかで業績不振にあえぐ中、秋浦店での駅前再開発に係る贈収賄事件もあり、世間のバッシングを受け、伊住屋との合併に追い込まれようとしていた。

御曹司社長矢野純太郎(47)は役員会では副社長増田派の役員に吊るし上げられる始末。

矢野が秋浦店に飛ばした宮瀬和夫は本社カンパニーに戻ろうとして実績を挙げようとした。その策が贈収賄につながったのだ。

そんな荒波にもまれる鈴膳百貨店日本橋本店では創業百年祭の催しが行われていた。

残業の認められない土曜日の閉店後、なぜか百貨店内には闖入者が何人も残っていた。

妻と離婚し、娘からも邪険にされる加治川英人は職を失くし、最後に子どもの頃に母と楽しい思い出を作ったデパートにやってきた(忍びこんだ)。

鈴膳百貨店の山添真穂は不倫解消の手切れ金(退職金)がわりに、百年祭で警備の甘くなっている宝飾品を盗むため、秘かに忍びこんでいた。真穂は計画達成のため、警備の赤羽信とつきあい、警備体制を調べ、周到に準備をしていたのだ。

また、秋浦市からは親から逃げるように東京に出てきたユカコージの高校生2人組が紛れ込んでいた。親にキャッシュカードを止められた二人は、因縁浅からぬ鈴膳百貨店で夜を明かそうとしたのだ。

塚原仁士は身を持ち崩した元警察官。秋浦の贈収賄事件に関与した塚原は真相(黒幕)をつかみ、脅迫するために東京へやってきていたが、途中で暴力団関係者ともめ、手傷を負ったまま、デパートへ逃げ込んでいた。

加治川が投げ捨てた携帯電話を矢野が拾ったことをきっかけに、連鎖的にストーリーは動き始める。

 

多くの登場人物が出てきて、いろいろ背景を抱えながらも、最後は再生していくという「よくある」タイプの話で、新味には非常に乏しい。

登場人物の殆どが本性のところで極めて善人であるのも若干鼻につく。

ただ、いくつかの設定がラストに向けて組み合わさっていく、パズルのような面白みがこの作品の醍醐味で、そのあたりを楽しめるのであれば十分に楽しめるのでしょう。

登場人物のなかで直接鈴膳百貨店と関係のないのは加治川だけで、あとは直接・間接に鈴膳百貨店や贈収賄事件にかかわっており、あまりにも出来すぎ。

贈収賄事件の真相も見えてきますが、それをもって矢野の大逆転としないところは(爽やかではありますが)一風変わっているのかもしれませんが、それなら何故そんな真相を入れる必要があったのかな、と思ってしまいます。

ラストの警備員半田良作の母親登場というのは唐突だし、蛇足ですね。心優しい脇役にも光を当てるという意図以外に何か意図があったんでしょうか。

とにかく、この作品は妙に書き込みすぎと言うか、作りこみすぎで作為感が鼻につくのが、どうかという印象を受けてしまいます。

お奨め度:★★★☆☆

再読推奨:★★★☆☆

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『オイアウエ漂流記』 荻原浩

Oiaue 2009年、106冊目。荻原浩『オイアウエ漂流記』

面白い。

ラストが唐突で残念なんだけれど、無人島を探検するワクワクするような面白みと、それまでの都会・社会生活との歪みを嗤うような話で、楽しく読めました。

 

トンガ王国ファアモツ空港からラウラ諸島共和国へ飛び立った小型旅客機(ラウラ国際空港FR601便)が遭難する。

「オイアウエ」を連発するトンガ人の巨漢機長により、無事飛行機は海に着水する。”荷物(カーゴ)”と称する犬を助けようとした機長が飛行機と運命をともにしたほかは、乗客合わせて10人とセントバーナード1匹は何とか救命ボートで海へこぎだすことに成功した。

乗客は日本人3組とアメリカ人が1人。

1組目はトンガにゴルフ場を作るための視察にやってきた(株)パラダイス土地開発の開発事業部4人(河原部長安田課長菅原主任(34)、塚本賢司(28))と、スポンサー候補の泰豊グループ副社長野々村晃(30代前半)。

1組は新婚旅行でトンガを訪れた薮内昌人(36)と白川早織(32)。

1組は戦友慰霊の旅にやってきた中村喜介(84)と孫仁太(小4)。

唯一の外国人はジョセフ・サイモン。乗客名簿では米国の貿易商トニー・ルチアーノ(45)となっていたが、実はトニー・ルチアーノからチケットを奪った過激な環境テロリスト「マリンガーディアン」の一員だった。

彼らが辿り着いたのは小さな無人島。

一方、現地の救助は早々に打ち切られてしまう。

当初は無人島とも知らず、救助は早々にやってくると信じた面々だったが、一向に現れない救助という現実を認識していくうち、それぞれ建前を脱ぎ捨て本音で生きるようになっていく一行。

河原部長は当初は従来通りのパワハラぶりを発揮し、スポンサーである野々村に媚びへつらうのだが・・・。

安田課長は当初こそ河原部長の意見を汲々と受け入れるのだが、巨大な体躯を活かして一行に君臨しようと試みる。

白川早織薮内昌人と結婚してしまったことに不安を覚え、この遭難を機に人生を変えようと考えていた。

 

やっぱりラストが唐突なんですよね。

一行に救助が来ないまま、少しずつ減っていくページを気にしながら、「この作品って次巻へ続く」ってことになるのか、と思っていたんですが・・・。

えーっ、こんな終わり方!という驚きと怒りの声が上がりそうなラストでした。

結局、現代社会へ戻って彼らはどうなっていくのか、そのあたりもエピローグとして欲しかったですね。

それに、本当に「オイアウエ」の機長って死んでしまったんでしょうか。この作品のノリだと、”実は助かっていたんだけど、遭難者の救助要請をするのをすっかり忘れていた”というようなオチのような気がするんですが・・・。

うーん、このあたりの解決篇的な続編はないものなんでしょうか。

お奨め度:★★★★

再読推奨:★★★★

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『リストラ屋』 黒木亮

Restruya_2 2009年、105冊目。黒木亮『リストラ屋』

カラ売り屋』の続編です。

カラ売り屋、北川が日本のスポーツ用品メーカーのリストラ屋に立ち向かう話。

 

大手投資ファンド、ボストン・インベストメンツに買収されたのは東証一部上場のスポーツ用品メーカー極東スポーツ。

ボストン・インベストメンツ駐日代表の三ツ谷高宏は、米系投資銀行の東京支店長山吹一郎に推薦された蛭田明を極東スポーツの社長に据える。

蛭田はこれまで過酷なコストカットを実施することで会社再建を請け負ってきた「リストラ屋」。

コストカットを重視するリストラは短期的には株価を上げるが、中長期的には会社を傷める劇薬だ。

リストラしたばかりの企業の経営者にリストラ屋を持ってくる無謀に、カラ売り専業ファンド「パンゲア&カンパニー」の北川靖はビジネスチャンスを見出だす。

採算性ではなく、アナリストによる受けを重視し、北米工場の閉鎖、中国へのシフトなど、大胆な対策を打っていく蛭田は、暗い過去を背負い、人を人と思わぬ非情さで次々と社員の首を切り、彼らを絶望の縁に追い込んでいく。

北川がボランティアで教師を務めるハーレムの少年マイケルの父フレデリックもまたそんな蛭田の犠牲者の一人だった。

実態を知るに連れ、早晩馬脚を現わすと考えた北川らだったが、役員たちを恐怖政治で支配して粉飾決算に荷担させ、アナリストを抱き込んで株価を上げさせる蛭田の前に、なかなか株価は下がらない。

会計上の疑惑を訴える北川だったが、それを否定する一方で、新興国向けの新商品「レインボー・プラスワン」を投入することで市場の信任を得た蛭田の前に、上昇する株価を見つめて歯噛みするのだった。

しかし、少しずつ極東スポーツの綻びが見え、北川らの投資が成功が見えてきたところで、思わぬニュースが入った。

イタリア系大手スポーツメーカー、ザネッティ社が極東スポーツの買収に基本合意したというのだ。これは新興国での極東スポーツの成功を評価してのことだという。

北川はおのれの見込み違いに頭を抱えるが、パートナーのアデバヨ・グボイェガは旅行先のメキシコで「レインボー・プラスワン」が叩き売られているのを見つけ、報告してくる。更に調査を進めると、至るところで、新興国での販売好調が虚偽であることを指し示す証拠が集まってきたのだ。やはり、蛭田のコメントは嘘だ。

キャッシュフロー不足に怯え、SBによる起債を行おうとする極東スポーツだったが、起債に際してのデューディリで躓く。

米系投資銀行と共同主幹事となった丸野証券でデューディリを担当した鮎川真次は極東スポーツの財務状況に深く切り込むとともに、訴訟提起の可能性も見てとると、丸野証券を主幹事から降ろさせたのだ。

これによりSB起債計画は破綻し、資金調達は山吹率いる米国系投資銀行によるMSCBで行うこととなる。

日米の経済誌で極東スポーツの不正会計が報道され、パンゲアによる新興国での販売不振に関する分析レポートが提出されると、一気に極東スポーツ株には売りが浴びせられる。

ここに至って、ザネッティ社も買収を取りやめ、蛭田の命運もここに窮まった。

 

カラ売り屋』収録作品の中では一番面白かった”カラ売り屋”の続編ということで楽しく読めました。

内容的にも、前回の短編では物足りなく感じていたため、ボリュームもそれなりにあって、満足です。

キャラクターとしては、主人公北川は仕事柄なのか、人に対しての思いいれが強くなく、小説の主人公としてはちょっと物足りない部分もあるのですが、ストーリーの面白さを楽しむ作品といったらよいのでしょうか。

前作もそうでしたが、苦境に立ったときに何らかのヒント(助け)が偶然目の前に現れるという”恵まれ感(出来過ぎ感)”はあるものの、ストーリーとしてはオーソドックスで面白かったですね。

更に続編があることを期待したいと思います。

お奨め度:★★★☆☆

再読推奨:★★★☆☆

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『外科医須磨久善』 海堂尊

Gekaisuma 2009年、104冊目。海堂尊『外科医須磨久善』

「先駆者の栄光!日本初バチスタ手術…“神の手”の軌跡。医療エンタテインメントの人気作家が初めて取り組んだノンフィクション。」だそうです。

外科医須磨久善の半生記といったような内容です。

 

第一部 心臓外科医 須磨久善の旅

1章 未来への扉を開く-公開手術

   1992年 ベルギー・ブリュッセル(41歳)

2章 学会の熱風-米国留学

   1984年 ソルトレークシティ(33歳)

3章 回り道か抜け道か-外科研修と胃大網動脈バイパス手術

   1986年 (36歳)

4章 ニュー・ライフラインの発見-AHA(米国心臓協会)

   1988年 (38歳)

5章 外科医になろう-少年時代から医学生時代

6章 ローマへの道-ローマ・ジェメリ総合病院

   1994年 (44歳)

7章 バチスタ手術-湘南鎌倉総合病院

   1996年 (46歳)

8章 スマ手術への進化-バチスタ手術の完成形

   1997年 (47歳)

9章 医療の宝石を手に入れる-葉山ハートセンター

   2000年 (50歳)

10章 須磨久善はどこへ行くのか-心臓血管研究所へ

   2008年 (58歳)

第二部 解題 バラードを歌うように

   2008年7月

 

何ていうんですか、偉人の伝記みたいです。

確かに、ノンフィクションのもつ面白さがあり、知的好奇心も一定満足させられるんですが、ただそれだけ。

第二部でも書いているように、どうも成功の部分しか見えず、陰影に乏しいことから、どうも上っ面しか見えてきません。

須磨を取り巻く環境については、常々海堂尊が声高に述べている業(学)界・世の風潮批判をまたしても繰り返しているため、「またか」とうんざりするところもないではありません。

お奨め度:★★☆☆☆

再読推奨:☆☆☆☆

| | コメント (0) | トラックバック (0)

«『あの子の考えることは変』 本谷有希子